インパチェンス(アフリカ鳳仙花)

Impatiens     プロフィール

  ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、学名は Impatiens sp.(属の総称)。
  アフリカの東部や南部が原産です。別名で「アフリカほうせんか(鳳仙花)」とも呼ばれ、わが国の「つりふねそう」などの近縁で、湿地に生え、高さは20〜30センチになります。葉は卵形でやわらかく、互生します。7月から9月ごろ、赤色や白色、ピンク色、オレンジ色などの花を咲かせます。園芸品種も数多く作出されています。
  系統・品種と用途

  「インパチェンス」には、赤色やピンク色、オレンジ色などの華やかな花色があります。また、一重咲きだけでなく、八重咲きやバラのような形の品種もあります。初夏から秋まで長い期間咲き続けますが、ただ暑さには弱いため、真夏は遮光しないと夏枯れしてしまうこともあります。
  栽培のポイント

  「インパチェンス」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

花期

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/中〜06/中   07/中〜09/下  
寒冷地 05/上〜05/下   07/上〜10/上  
温暖地 04/中〜05/中   06/中〜11/上  
暖 地 04/上〜04/下   06/上〜12/上  

ご注意

  発芽温度15〜30℃、生育温度は10〜30℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

20-25

生育適温

15-25

栽培のポイント

  日当たりがよく、あまり乾きすぎないところを好みます。ただ耐陰性があるので、多少の日陰でも育ちます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

5.5-6.5

栽培のポイント

  水はけのよい、中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌では石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

栽培間隔

1-(2)


栽培のポイント

  連作障害が出ますので、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「インパチェンス」を栽培するとき、種まきから開花期までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 暖かくなってから、連結ポットや3号ポットにタネまき用土を入れ、3〜4粒ほどまきます。タネが隠れるくらい覆土をして軽く押さえます。

Impatiens

Impatiens

Impatiens


(2) 本葉が4〜5枚のころまでに3号ポットに鉢上げします。

(3) 半日陰の場所で、育苗ポットの底まで根が回るまで育苗します。

植えつけ

(1) 育苗ポットの底まで根が回わったら、日当たりと水はけのよい場所に、株間25〜30センチで植えつけるか、5号鉢に1株を目安に植えつけます。

Impatiens

Impatiens


(2) 直根性なので、ポットの土は崩さないように注意してください。

(3) 庭植えの場合は、1平方メートルあたり完熟堆肥3〜4kgと苦土石灰100g、有機配合肥料30〜50gをすき込み、鉢植えの場合は、赤玉土小粒6に腐葉土3、完熟堆肥1の割合で混ぜたものに緩効性肥料を加えたものを用土とします。

生育管理

(1) 水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えてください。水切れさせないように注意してください。

Impatiens

Impatiens

Impatiens

Impatiens


(2) 生育状況をみて、花期に有機固形肥料の置肥か、10日に一回の薄い液肥を与えます。肥料切れと水切れをさせないことが重要なポイントです。

(3) 枝が伸びすぎたときは、摘芯します。また夏の強すぎる日差しには、葉焼けを起こすことがありますので、遮光してください。

(4) 枯れ葉や花がらは、病気の原因になるのでこまめに摘み取ってください。

(5) 7月ごろ、ある程度花が終わったら半分程度に切り戻します。そうすれば秋にまた花を咲かせます。
  おもな病害虫

  「インパチェンス」のおもな病害虫は、つぎのようなものです。

病害虫名

症状
対策

ネコブセンチュウ

  根に寄生して分泌物をだし、こぶ状に肥大させて養分を吸収します。

  センチュウの被害をうけやすい野菜との連作を避けたり、堆肥をよくすき混んだりして予防します。

ハダニ類

  葉の裏に寄生して汁を吸います。被害が進むと白っぽく絣(かすり)状になります。

  テルスタースプレーやパイベニカスプレー、園芸用でんぷんスプレーなどの殺虫剤を散布します。

うどんこ病

  若い葉や茎の表面に、うどん粉をまぶしたような白いカビが一面に生えます。

  トップジンMスプレーやサプロール乳剤、カリグリーン、ミラネシン水溶剤などを散布します。
  「インパチェンス」のQ&A

  Q1:「インパチェンス」が真夏に咲かなくなりました。
  A1:「インパチェンス」は、初夏から秋まで長い期間咲き続けます。ただ暑さには弱いため、真夏は遮光しないと夏枯れしてしまうこともあります。また真夏の暑さで、いったん開花を休むことがあります。このときは、株の切り戻しをしておきます。過乾過湿に気をつけ、適度な水やりを行います。秋になれば元気を取り戻し、再び花が咲き出します。

  Q2:「インパチェンス」のまき方のポイントは。
  A2:「インパチェンス」の発芽適温が20〜25℃と高いので、早まきはおすすめできません。タネは細かく好光性種子のため、ポットのときは、ごく薄く覆土をかけ、ピートバンなどのときは、覆土をしません。発芽するまでは乾燥させないようにし、霧吹きなどで静かに水やりをします。

  Q3:「インパチェンス」の枝が腐ってきました。
  A3:「インパチェンス」の株元の茎が褐色から黒褐色に変色し、腐敗することがあります。これは株が繁茂して多湿になり、蒸れることによって発生します。通風をよくするために、混み合った茎は間引きます。また病気に罹った株は、早めに除去します。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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