スイートアリッサム(庭薺)

Sweet alyssum     プロフィール

  アブラナ科ニワナズナ属の一年草で、学名は Lobularia maritima。
  ヨーロッパの南部、地中海沿岸が原産です。高さは20〜30センチほどになり、葉は披針形で全縁です。6月から10月ごろ、茎の先の総状花序に、小さくて芳香のある白色の花を咲かせます。園芸品種も多く、白色のほか、赤色やピンク、紫色の花色もあります。和名では「にわなずな(庭薺)」と呼ばれます。
  系統・品種と用途

  「スイートアリッサム」は、タネから容易に育てられる植物です。発芽率もよく、成長が早くて絨毯のように広がります。小さな花が、早春から初夏まで咲き続けます。
  栽培のポイント

  「スイートアリッサム」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

花期

(S)

(F)

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/上〜04/下   06/上〜09/中  
寒冷地 03/中〜04/中   05/中〜09/下  
温暖地 03/上〜03/下 09/下〜10/下 05/上〜06/下 03/上〜05/下
暖 地 02/下〜03/中 10/上〜11/上 04/上〜06/中 02/下〜05/中

ご注意

  発芽温度は15〜25℃、生育温度は5〜25℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

20-25

生育適温

10-20

栽培のポイント

  よく日の当たる場所を好みます。耐寒性は強いほうですが、寒冷地では霜よけが必要です。ただ高温多湿には弱く、夏には枯れてしまいます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.5-7.0

栽培のポイント

  水はけのよい、ほとんど中性の土壌を好みます。強い酸性土壌では石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

栽培間隔

1-(2)


栽培のポイント

  こぼれ種でもよく増えるので、連作障害はあまりなさそうですが、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「スイートアリッサム」を栽培するとき、種まきから開花期までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) タネは細かいので、タネまき用土を入れた連結ポットや育苗箱に薄くばらまきします。覆土はごく薄く掛けます。

Sweet alyssum

Sweet alyssum

Sweet alyssum


(2) 発芽率がよいので、直まきも可能です。

(3) 本葉が1〜2枚でたころ、3号ポットに鉢上げします。本葉が4〜5枚になるまで、育苗します。

花壇の準備

(1) 庭植えの場合は、定植の2週間前に、よく耕して1平方メートルあたり苦土石灰100gと完熟堆肥3kg、有機配合肥料50gなどをすき込んでおきます。

Sweet alyssum


(2) 鉢植えの場合は、赤玉土小粒7に腐葉土3の割合で混ぜたものに、有機配合肥料を加えたものを用土とします。市販の培養土に赤玉土小粒を30%、腐葉土を20%ほどを加えても構いません。

植えつけ

(1) 本葉が4〜5枚になったころ、日当たりと水はけのよい場所に、株間20〜30センチで植えつけるか、6号鉢に1株を目安に植えつけます。

Sweet alyssum


(2) 霜が降りる前に、じゅうぶんに根を張らせるようにします。

生育管理

(1) 根腐れをおこしやすいので、乾燥気味に管理します。庭植えのときは、極端に乾いたときだけに水やりします。

Sweet alyssum

Sweet alyssum

Sweet alyssum


(2) 寒さの厳しいところでは、霜よけが必要です。株元にワラなどを敷いて防寒します。

(3) 開花し始めたら、有機固形肥料や液肥を追肥として施します。

(4) 過湿になると蒸れて腐ったり、根腐れを起こしますので、梅雨の前には、株全体を3分の1くらいに切り戻しておきます。
  おもな病害虫

  「スイートアリッサム」に発生するおもな病虫害は、つぎのようなもの。ただ、栽培環境がよければあまり発生しません。

病害虫名

症状
対策

アオムシ

  「モンシロチョウ」などの幼虫で、葉を食害します。

  こまめに手で駆除するか、大量に発生した場合はパイベニカやパイベニカスプレーなどの殺虫剤を散布します。

コナガ

  幼虫が、葉の裏について食害します。葉の表面が透けたように見えます。

  こまめに手で駆除するか、大量に発生した場合はパイベニカなどの殺虫剤を散布します。

アブラムシ類

  体長2〜4ミリの小さな虫が、新芽や茎に群がって汁を吸います。

  パイベニカ乳剤やオレート液剤などの殺虫剤を散布します。小面積の散布には、スプレータイプが手軽です。

ヨトウムシ類

  昼間は株もとなどに潜み、夜に葉を食害します。

  探し出して駆除します。多発する場合には、オルトラン粒剤やオルトラン水和剤などを散布します。
  「スイートアリッサム」のQ&A

  Q1:「スイートアリッサム」の下葉が黄変してきました。
  A1:「スイートアリッサム」は小さな苗のときからよく花を咲かせます。そのため蕾の生育や開花のために多くの養分が使われ、不足すると、株が生育できずに下葉が黄変してきます。定期的に追肥を施して、肥料が不足しないように育てます。

  Q2:「スイートアリッサム」の植え替えはできますか。
  A2:「スイートアリッサム」は、苗は大きくなってからは植え替えても根付きにくい性質があるので、プランターに直接まいて間引きながら育てるか、連結ポットなどで育苗し、本葉が5〜6枚くらいのころまでに、花壇やプランターに定植します。

  Q3:「スイートアリッサム」は夏越しできますか。
  A3:「スイートアリッサム」は、暑さに弱いため、なかなか夏越しできません。冷涼地では、花の終った後に軽く刈り込み、夏越しさせて、秋の生育期に追肥を施します。暑い夏をいかに越すことができるかがポイントで、中間地でも風通しの良い、緑陰などに移動して、夏越しできることがあります。
  画像提供:ボタニックガーデン  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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