チューリップ(鬱金香)
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プロフィール
ユリ科チューリップ属の多年草で、学名は Tulipa gesneriana。英名は Tulip。
東アジアから中央アジア、北アフリカにかけてが原産です。ヨーロッパでは16世紀中頃から栽培が始まりました。わが国へは19世紀後半に渡来し、そのときの名前が「うっこんこう(鬱金香)」。明治の終わり頃から栽培されています。4月から5月ごろ、赤色や黄色、それに白色やピンクなどの花を咲かせます。絞り咲きや八重咲き、パロット咲きなど花形も豊富です。
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系統・品種と用途
現在、世界には約5000種の品種があるといわれています。「オランダ王立球根協会」により、1981年に制定された分類法が世界的にスタンダードとなっています。これは開花時期によって早生(4月上旬〜)、中生(4月中旬〜)、晩生(4月下旬〜)の3つに大別し、さらに花の咲き方や大きさなどを考慮して、15に分類されています。
早生(4月上旬〜中旬開花)
○SE(Single early、一重早咲き) 草丈が低めで一重咲き、小輪系
○DE(Double early、八重早咲き) 草丈が低めで八重咲き
中生(4月中旬〜下旬開花)
○T (Triumph、トライアンフ) SEとSLとの交配種、草丈は高めで一重咲き、花色は多彩
○DW(Darwin hybrid、ダーウィンハイブリッド) SLとFとの交配種、草丈は高めで一重咲き、大輪系
晩生(4月下旬〜5月上旬開花)
○SL(Single late、一重遅咲き) 草丈が高めで一重咲き、大輪系
○DL(Double late、八重遅咲き) 草丈が高めで八重咲き、大輪系、花色も多彩
○L (Lily-flowered、ユリ咲き) 花形がユリに似ている、葉も細長い
○FR(Fringed、フリンジ咲き) 花被にギザギザのフリルが入る、一重咲き
○P (Parrot、パーロット咲き) 花被がオウムの鶏冠のように切れ込んでいる
○R (Rembrandt、レンブラント) 花被にモザイク状の絞り模様が入る
○V (Viridiflora、ウィリディフローラ) 花被の中央部分が緑色をしている
原種(4月上旬〜下旬開花)
○K (Kaufmanniana、カウフマニアナ) カウフマニアナの改良種、草丈は低く、花被が平開する
○F (Fosteriana、フォステリアナ) フォステリアナの改良種、草丈はふつう、大輪系
○G (Griegii、グレーギー) グレーギーの改良種、草丈は低く、大輪系、葉に紫色の斑が入る
○S (Species、スピーシーズ) K・F・G以外の原種系、草丈は低いのが多い
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栽培のポイント
「チューリップ」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、球根レッテルに記載されている内容をよく確認してください。
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気候区分
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作業
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1
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温暖地 |
植えつけ |
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開花 |
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気候区分
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植えつけ (春|秋)
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開花時期 (春|秋)
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寒 地 |
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10/上〜11/上 |
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05/上〜06/上 |
寒冷地 |
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10/下〜11/下 |
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04/中〜05/中 |
温暖地 |
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11/上〜12/上 |
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04/上〜05/上 |
暖 地 |
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11/下〜12/下 |
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03/下〜04/下 |
ご注意
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「紅葉の見ごろ」のころが植えつけの適期です。地温が20℃以上だと、発根がよくないので、早植えは避けるようにします。
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℃
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101520
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発根適温
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10-15
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生育適温
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5-15
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栽培のポイント
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寒さには強いですが、暑さには非常に弱い性質です。本来は多年草ですが、高温多湿には弱いため、関東地方以南では、球根が充実しないうちに葉が枯れてしまうので、一年草として扱います。
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pH
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5.06.07.0
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土壌酸度
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6.0-7.0
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栽培のポイント
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水はけのよい、中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌では石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。
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年
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0 |
1 |
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8 |
9 |
10 |
栽培間隔
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1-(2)
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栽培のポイント
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連作障害がでますので、いちど栽培した場所では、少なくとも1〜2年は栽培しないようにしてください。とくにウイルス病が発生しやすくなります。
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栽培のステップ
「チューリップ」を栽培するとき、植えつけから開花期までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。
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ステップ
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内容
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花壇の準備
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(1) 花壇を30センチ以上深く掘りあげ、1平方メートルあたり100gの苦土石灰と1〜3kgの完熟堆肥、それに40〜50gの有機配合肥料をよく混ぜて、埋め戻します。
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(2) 鉢やプランターの場合は、草花用培養土:7にバーク堆肥:2、牛ふん堆肥:1、それに苦土石灰少量を混ぜて栽培用土とします。
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植えつけ
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(1) 地温が十分に下がってから、球根を植え付けます。準備した花壇を、15〜20センチ掘りあげ、表面を均して、10〜15センチ間隔に球根を並べます。さらに掘りあげた土で、覆土を掛けます。覆土の厚さとしては、10〜15センチとなります。
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(2) 5号鉢では3球、6号鉢で4球、8号鉢で10球が目安となります。65センチプランターでは、20球が目安です。ふつう深さは球根が少し隠れる程度の浅植えとします。深型鉢やプランターでは、球根の高さ2〜3倍くらいの深さに植えます。
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(3) 植え付け後、十分に水やりをします。
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生育管理
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(1) 冬の間も、土の中では根が生育していますので、乾きすぎないように水を与えてください。
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(2) 早春になると、葉がでてきます。寒さに十分あたらないと、うまく開花しないので、凍らない程度の低温にあわせてください。
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(3) よほどの生育不良でないかぎり、追肥は不要です。生育後期の施肥は、球根が腐る原因になるので、注意が必要です。
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(4) 花が終わるころ、病気の予防と球根肥大のために、花の首のところで摘み取ります。
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(5) 寒地や寒冷地では、葉が3分の2くらい黄色くなったころに球根を掘りあげ、土を落として、風通しのよく涼しい日陰で乾かします。このとき、球根を「ベンレート」や「オーソサイド」などの消毒用薬剤で殺菌しておくことが必要です。
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おもな病害虫
「チューリップ」には、かいよう病や球根腐敗病、葉腐病、灰色かび病、炭疽病などがあり、アブラムシ類やチューリップサビダニ、ネダニ類などがつきます。
病気に罹った場合は、発病株をできるたげ早く抜き取り、処分してください。
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「チューリップ」のQ&A
Q1:「チューリップ」の球根に向きはありますか。
A1:「チューリップ」の球根には「花が咲く」と「葉が出る」向きがあり、これを適当に植えてしまうと、葉が重なり合い、十分な日光が得られず成長しないものが出てきてしまいます。そこで球根の向きを全て揃えると、葉は同じ方向に伸び、きれいに整列して育ちます。
○「花が咲く」向きは、球根の尖ったほうです。この反対側が発根部になります。
○「葉が出る」向きは、球根を上から見たときに、太った両側になります。
Q2:「チューリップ」の球根の表皮はむきますか。
A2:「チューリップ」の球根を植え付けるとき、球根の表皮をむくかどうかの基準は、発根部が見えているかいないかにあります。発根部が見えていれば表皮をむく必要がなく、発根部が表皮で被われていれば表皮をむきます。
これは発根部が表皮で被われていると、表皮と球根の間に根が伸びてしまい、まっすぐに伸びてしっかり生育することができないからです。
Q3:「チューリップ」の球根は翌年も咲きますか。
A3:「チューリップ」チューリップは花を咲かせると急激に球根が消耗する性質があり、ふつう小球性の原種を除いては翌年の花は望めません。
これは花が大きく大きく改良されたため、一度で養分を使い果たしてしまい、翌年できる球根に十分養分が渡らないことと、気温が上がると葉を枯らして休眠する性質があるため、関東地方以西では花後すぐに休眠に入り、球根が太るのに十分な時間が取れないという理由によります。
また、チューリップはウイルス病にかかりやすく、特に温暖で冬乾燥する地域ではほとんどの場合これが発生します。
※チューリップの生産地(富山・新潟)は冬季に湿潤で、春も気温の低い地域です。球根を太らせるために、花色を確認したらすぐに摘蕾し、十分に葉を残して栽培しています。
Q4:「チューリップ」の植え付けのポイントは。
A4:「チューリップ」は、よく耕して水はけの良い土に植え付けます。「すぎな」や「おおばこ」の生えるような酸性土になっている場合は中和します。植え付けは、寒さが来る前の10月〜11月上旬が最適です。これより遅くなると、充分に根が張らず、生育に支障が出てしまいます。鉢植えは深さ5cmほど、庭植えは深さ10cmほどにします。
冬の間は葉が伸びませんが、土の中では根が成長しているので、乾きすぎないように水やりをして気をつけます。また寒さに十分あわせないと開花しないので、鉢植えなどの場合でも、1月末までは必ず凍らない程度の低温にあわせてください。
※ヨーロッパでは、チューリップの庭植えは深さ20cmが基準です。深さ20〜30cmにすると、浅植えのときよりも、花期が長くなるといわれています。
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写真提供: 「ボタニックガーデン」 イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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