よるがお(夜顔)

Moonflower     プロフィール

  ヒルガオ科ヨルガオ属の一年草で、学名は Calonyction aculeatum。
  熱帯アジアなどが原産の常緑多年草ですが、わが国では春播きの一年草として扱われています。「ゆうがお(夕顔)」と呼ばれることもありますが、ほんとうの「ゆうがお」はウリ科の植物で干瓢の原料です。「よるがお」は夜咲く朝顔に由来しますが、属名はギリシア語の「夜美しい」という意味です。
  系統・品種と用途

  「よるがお」は、8月から9月ごろ、葉腋から出る花柄に15センチくらいの白色の大輪花を次々に咲かせます。夕方開いて翌朝しぼむ夜開性が大きな特徴です。鉢植えであんどん仕立てにしたり、フェンスやトレリスなどに絡ませて、夏の夕べを楽しみます。
  栽培のポイント

  「よるがお」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

花期

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/中〜06/下   08/上〜09/下  
寒冷地 05/中〜06/下   08/上〜09/下  
温暖地 05/上〜06/下   07/下〜10/中  
暖 地 04/下〜06/下   07/中〜11/上  

ご注意

  発芽温度は15〜30℃、生育温度は10〜40℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

20-25

生育適温

15-25

栽培のポイント

  朝または夕方の涼しいときに、土の表面が乾いたら水やりしてください。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-6.5

栽培のポイント

  水はけのよい、中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌では石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

栽培間隔

1-(2)


栽培のポイント

  連作障害がでますので、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「よるがお」を栽培するとき、種まきから開花期までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 発芽適温が20〜25℃と高いので、十分暖かくなってからタネまきします。
  タネは吸水しにくいので、一晩水に漬けてからまくか、種皮(種子の胚以外の部分)にかるく傷をつけてからにします。
  3号ポットに1〜2粒ずつ、または育苗箱に5センチ間隔にまきます。覆土は1センチくらいです。

Moonflower

Moonflower

Moonflower

Moonflower


(2) 発芽するまでは半日陰で管理して、水やりをかかさず、乾かないようにします。発芽したら日当たりのよい場所に移動します。

(3) 本葉が3〜4枚になるまで育苗します。

植えつけ

(1) 本葉が3〜4枚になったころ、日当たりと水はけのよい場所に、株間30センチで植えつけるか、10号以上の鉢に1株を目安に植えつけます。

Moonflower

Moonflower


(2) 庭植えの場合は、植え付けの2週間以上前に、1平方メートルあたり苦土石灰100gと完熟堆肥3〜4kgそれに有機配合肥料30〜50gをすき込んでおきます。鉢植えの場合は、赤玉土小粒5に腐葉土4、川砂1の割合で混ぜたものに有機配合肥料を加えたものを用土とします。

生育管理

(1) 水やりは、土の表面が乾いたら与えます。水切れは禁物です。ただし、梅雨の時期に水をやりすぎると、つぼみがつきません。

Moonflower

Moonflower

Moonflower


(2) 庭植えの場合、フェンスやトレリスに絡ませます。鉢植えの場合は、あんどん仕立てが一般的です。「あさがお」用のあんどんを利用します。

(3) 蔓が強ければそのまま伸ばし、弱々しければ摘芯します。

(4) 生育期に、有機固形肥料の置き肥か10日1回の液肥を与えます。窒素分の多い肥料を与えすぎると花つきが悪くなるので、注意が必要です。
  おもな病害虫

  「よるがお」には、比較的病害虫が少ないですが、おもな病害虫はつぎのようなものです。

病害虫名

症状
対策

アブラムシ類

  体長2〜4ミリの小さな虫が、新芽や茎に群がって汁を吸います。

  パイベニカ乳剤やオレート液剤などの殺虫剤を散布します。小面積の散布には、スプレータイプが手軽です。

ハダニ類

  葉の裏に寄生して汁を吸います。被害が進むと白っぽく絣(かすり)状になります。

  テルスタースプレーやパイベニカスプレー、園芸用でんぷんスプレーなどの殺虫剤を散布します。

蔓割れ病

  初夏から秋にかけて、土壌中の糸状菌によって、日中に葉がしおれたり、茎の地ぎわ部が病変してきます。

  発病した株は抜き取って焼却し、5年くらいはウリ科やヒルガオ科の植物を栽培しないようにします。また連作を避けることも必要です。
  「よるがお」のQ&A

  Q1:「よるがお」とゆうがおは同じものですか。
  A1:ヒルガオ科の「よるがお」は、別名で「ゆうがお」とも呼ばれます。ただ、干瓢(かんぴょう)の原料となるウリ科の「ゆうがお」とは別のものです。

  Q2:「よるがお」のタネはまく前に水につけますか。
  A2:「よるがお」のタネは皮が硬い種子なので、外皮を傷をつけたあと、タネに吸水させると芽が出やすくなります。爪切りのヤスリなどでこすった後に、2〜3時間水に漬けます。

  Q3:「よるがお」の鉢植えはできますか。
  A3:「よるがお」の鉢植えはできますが、10号(30cm)鉢に1本が目安です。鉢が小さいと、根づまりによる株の老化によって、下葉から枯れるようになります。

  Q4:「よるがお」の花が咲きません。
  A4:「よるがお」は、短日植物なので、ふつう夏至の日を過ぎてしか咲きません。また、街灯や自動販売機の明かりによって、夜の暗さが確保できす、咲かないこともあります。

  画像提供:ボタニックガーデン  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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