バジル(目箒)

Sweet basil     プロフィール

  シソ科メボウキ属の多年草で、学名は Ocimum basilicum。
  熱帯アジアが原産だと考えられています。わが国へは江戸時代に中国から渡来しました。高さは60〜100センチほどになります。「バジリコ(Basilico)」と呼ばれてイタリア料理に使われるほか、薬用や香料として利用されます。ふつうに「バジル」といえば、「スイートバジル」のことをいいます。
  系統・品種と用途

  「バジル」は、葉をサラダやスパゲティに混ぜたり、オリーブオイルやビネガーの香りづけなどに使うことができます。真夏の成長期には、枝葉をだして盛んに成長するので、早めに葉や花穂をつみとります。摘み取った葉は、細かく刻んで冷凍保存しておくと、一年中楽しめます。多年草ですが、耐寒性がないので一年草扱いとします。
  栽培のポイント

  「バジル」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

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温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/上〜06/下   08/上〜09/中  
寒冷地 05/上〜06/下   08/上〜09/中  
温暖地 04/中〜06/下   06/中〜10/中  
暖 地 04/上〜06/下   06/上〜10/下  

ご注意

  発芽温度は20〜30℃、生育温度は15〜30℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

20-25

生育適温

15-30

栽培のポイント

  高温性のため、暖かくなってからタネまきすることがポイントです。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

5.5-7.0

栽培のポイント

  中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


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作付け間隔

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栽培のポイント

  ハーブ類にはあまり連作障害はでませんが、それでも長期間同じ場所で栽培すると障害がでてきます。できるだけ連作を避けることが賢明です。
  栽培のステップ

  「バジル」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 連結ポットや3号ポットにタネを4〜5粒、間隔をあけてまきます。好光性のため覆土はごく薄く、タネがかくれる程度にします。発芽温度が高いので、「やえざくら」が咲いた後にまくのが目安です。

Sweet basil

Sweet basil

Sweet basil


(2) 本葉が5〜6枚のころまでに、間引いて1本立てにします。

畑の準備

(1) 強い酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、100gほどの有機配合肥料石灰を施し、よく耕します。

Sweet basil


(2) 畝の真ん中に20〜30センチほどの溝を掘るか、全面に1平方メートルあたり2kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。そのあと幅90センチ、高さ10センチとほどの畝を立てます。

植えつけ

(1) 遅霜の心配がなくなり、本葉が5〜6枚くらいに育ったころに植えつけます。

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(2) 畝に、条間45センチ、株間25〜30センチの間隔で植え穴を掘り、根を傷めないように注意して植えつけます。8号鉢に1株、65センチのプランターには3株を植えることができます。

摘芯・摘蕾

(1) 本葉が8〜10枚になったころ、摘芯します。摘芯することによって、わき芽が伸びて株が大きくなります。「ブッシュバジル」の場合は、草丈が低いので摘芯の必要はありません。

Sweet basil

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(2) 6月の中旬から下旬になると、つぼみをつけ始めます。花が咲くと、葉が固くなり風味も落ちるので、早くでたつぼみは摘蕾(てきらい)します。

(3) 10〜20日に1回の割合で、必要に応じて、少量の有機配合肥料を通路側に施し、土寄せします。また寒冷紗で被っておくと、葉がかたくなりません。

収穫

(1) 高さが20センチを超えたころから収穫を始めます。

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(2) 水切れさせると、葉の品質が悪くなるので注意してください。

(3) 7月から8月ごろに、3分の1くらいに切り戻しておくと、秋によい葉が収穫できます。
  おもな病害虫

  「バジル」には、比較的病気は少ないですが、生育全般にわたって害虫の被害をうけます。
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    おもしろ百科

  「ダークオパールバジル」

  アメリカで作出された「スイートバジル」の改良品種です。赤紫色の葉とピンク色の花が特徴です。オリーブオイルやビネガーに葉を漬け込むと、美しいワイン色になります。「レッドバジル」とも呼ばれます。
  「バジル」のQ&A

  Q1:「バジル」の花が咲きました。
  A1:「バジル」は花穂が発達すると、栄養がとられて、葉の風味が落ち、硬くなります。したがって、つぼみが開く直前には摘芯するようにします。若い芽をつぎつぎと収穫して、老化させないことがコツです。

  Q2:「バジル」の枝先が萎れて腐ったようになりました。
  A2:「バジル」の枝先が萎れて腐ったようになるのは、軟腐病が考えられます。軟腐病の原因は「細菌」です。そのときは苗を抜き取って焼却処分します。傷口から侵入するので、切り戻しのときもなるべく乾燥した天気の良い日に行うようにします。

  Q3:「バジル」の葉が黒くなってきました。
  A3:「バジル」の葉が黒くなるのは低温障害です。バジルはもともと熱帯アジア原産の植物で、その生育適温も20〜25℃です。中間地の6月頃はまだ気温が高くないため、低温プラス水のやり過ぎで葉が黒くなることがあります。
  収穫したバジルも、冷蔵庫に入れると二日もすれば低温障害を起こし黒ずんできます。保存するときは、さっと洗って水気をよく切り、ジップロックなど密封できる袋に入れて、なるべく空気を抜いて冷凍します。使う際は解凍せずそのまま使います。

  Q4:「バジル」をまいたらすぐにカビが。
  A4:「バジル」は、和名では「めぼうき(目箒)」と呼ばれます。バジルのタネを給水させると、すぐにゼリー状の皮膜に被われます。これがカビに見えるのではないでしょうか。江戸時代はこれを目に入れて、目のゴミを取ったそうです。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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