野菜の土壌条件 (1)


    野菜づくりと土壌

  野菜づくりは土づくりからともいわれます。野菜は土のなかに根をはり、そこから水分や養分だけでなく、酸素も取り込んでいます。そのため、野菜づくりには栽培する土壌の性質を知っておくことも必要です。
  野菜がよく育つ土壌の条件としては、通気性や保水性、排水性がよいこと、酸度が適正なこと、有機物が多く病害虫が少ないことなどがあげられます。

  わが国の土壌分布

  わが国は南北に長く、亜寒帯から亜熱帯までの気候帯があります。そして気候に応じた森林(植生帯)が形成され、またそれに対応したさまざまな土壌が分布しています。土壌は、母材だけでなく、気候や植生によって形成されるからです。
  わが国のおもな土壌の種類とその分布をみると、下表のようになります。このなかで農業におもに利用されているのは、黒ぼく土(こくぼくど)と沖積土です。


分類

構成

分布

特徴

ポドゾル性土

4.6%

  北海道の北部および本州や四国、九州の亜高山帯に分布。

  寒冷で湿潤な北海道や亜高山帯の常緑針葉樹林下に形成され、表層は灰白色で養分が極めて低い土壌です。

褐色森林土

42.5%

  北海道から東北地方北部の平地、それに本州や四国、九州の山地に分布。

  冷温で湿潤な落葉広葉樹林下に形成され、表層は褐色で肥沃な土壌です。わが国の森林土壌の大部分を占めます。

黄褐色森林土

10.9%

  本州や四国、九州の平地から丘陵に分布。

  温暖で湿潤な常緑広葉樹林下に形成され、褐色森林土よりも有機物含量が少なく、下層が黄褐色を呈する土壌です。

赤黄色土

1.5%

  沖縄に分布。北海道や本州、西南日本にも古土壌として分布。

  湿潤な亜熱帯の常緑広葉樹林下に形成される土壌です。なお西南日本に広く分布している赤色土は、古く更新世に生成され残存したものです。

黒ぼく土

16.2%

  わが国各地の火山周辺に分布しています。東海・近畿地方には火山灰以外の母材に由来する黒ぼく土が分布。

  火山灰が母材で表層が黒く、有機物の多い土壌です。きわめて多孔質で保水性が高いのが特徴ですが、活性アルミニウムの含有量が多く、リン酸欠乏状を発生しやすい土壌でもあります。

沖積土
(低地土・水田土)

15.6%

  わが国各地の河川の沖積地に分布。

  河川によって運ばれてきた砂や粘土に有機物が混じって堆積してできた土壌です。おもに水田として利用されています。

泥炭土

1.0%

  わが国各地の湿原や湿地などに分布。

  水湿地などに植物の遺体などか堆積して生成された土壌です。

その他

6.8%

 

 

市街地・湖沼

0.9%

 

 

  わが国の植生分布

  日本の国土は、近代に至るまで鬱蒼とした森林に被われていました。それが近代化とともに森林は減少し、いまやその荒廃が懸念されています。
  森林を育てることは、私たちの生活を守ることにほかなりません。森林だけでなく、田んぼや畑、ホームガーデンも自然循環系の一部です。その土壌が荒れていなければ、川や湖、ひいては海も健全になります。
  Vegetation


Vegetation Map of Japan
東北大学植物園 作成



分類

特徴

高山植生

  環境条件が厳しく、植物の成長が極めて遅い植生です。風衝草原やハイマツ林、雪田のお花畑などがあります。

常緑針葉樹林

  北海道東部のエゾマツ・トドマツ・アカエゾマツなどの森林、本州以南の亜高山帯に生えるシラベ・アオモリトドマツ・シコクシラベなどの森林です。

北方針・広混交林

  常緑針葉樹林帯と落葉広葉樹林帯との境界域に存在する移行的な森林です。

落葉広葉樹林

  北海道から東北地方北部の平地、それに本州以南の山地に分布するブナ・ミズナラ・シナノキ・ウダイカンバ・カエデ類などの森林です。

モミ・ツガ林

  落葉広葉樹林帯と常緑広葉樹林帯の間に存在する混交林で、モミ・ツガが高木層にあります。

常緑広葉樹林

  暖温帯から亜熱帯に分布するシイ・タブ・カシ・ウバメガシなど常緑の広葉樹林です。葉に光沢があるので照葉樹林とも呼ばれます。

東北大学植物園 「日本の植生」より抜粋

  写真提供: 「ボタニックガーデン」
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