畝づくりと区画どり


  1.畝づくり

  家庭菜園にかぎらず、野菜作りには、日当たりや風通し、水はけの良い場所が大事な条件です。また、家庭菜園は、多品種を少量ずつ生産したい、一つの種類でも何回にもわけて収穫したい、それに採算はほとんど考えなくて良いというのが特徴になります。

  この条件に合うような家庭菜園には、「畝づくり」が必須となります。「畝づくり(畝立て)」のメリットとしては、つぎのようなことがあげられます。
(1) 土を盛り上げることで、水はけが良くなる。
(2) 畝と通路を分けることによって、栽培場所がはっきりし、生育管理がし易くなる。
(3) 耕土が厚くなり、野菜の生産、とくに根菜類の生産に適している。



  ただ、野菜の種類や品種ごとに、最適の畝幅と株間があります。本来はこれに従うべきなのですが、狭い家庭菜園では、幅の違う畝をいくつも作るのが難しいのが現実です。そのため家庭菜園では、畝幅130〜150センチ(ベッド幅90センチ、通路幅40〜60センチ)、畝の長さ3メートルに統一するのがいいでしょう。(「畝幅(畝間)」については、通路幅を含めない「ベッド幅(床幅)」の意味で呼ばれることも多くあります。)
  このサイズが、どの野菜にも適応し、管理もしやすく、家庭用園芸資材にも寸法が合うからです。たとえばポリマルチの幅は95センチですし、寒冷紗や防虫ネットの長さは5メートルが基準です。トンネル支柱3型の幅は90センチ、立体栽培用のアーチパイプも、アーチ支柱180センチを使えば、畝幅130〜150センチでぴったりです。

  畝の長さについては、家庭菜園の形状によって、2〜3区画をつなげるようにします。これがあまり長くなると、作業がしづらくなります。
  畝の高さは、通常10センチほどですが、水はけの良くない土地は20センチほどの高畝とし、乾きやすい土地では10センチ以下の平畝とします。
  通路幅については、広い方が作業が容易になりますが、最低でも40センチは必要です。

  2.区画どり

  畝は通常、日当たりにあまり差のでない南北方向につくります。ただこれは、周辺に遮蔽物のない、日当たりのよい場合です。

  ここでは、一例として東北南部にある標高200メートルの家庭菜園での「区画どり」を記述しておきます。1区画は幅6メートル、奥行き10メートルで3区画あり、見取り図の上が北です。もともとは左の2区画でしたが、手狭になったため、右の1区画を増設しました。(この項は、「チューさんの家庭菜園(広瀬忠彦)」を参考にしています。)



  真ん中にある「育苗ハウス」は、約2坪の広さですが、既製の菜園ハウス(南栄工業、H-2236)を改良し、風速20メートルくらいには耐えられようにしています。(この土地では毎年、春先には強風が吹き、既製の菜園ハウスのままでは、倒壊してしまいます。)
  「育苗ハウス」は、無加温なので、保温のいらない種類のタネまきと育苗、それに農業資材の保管などに利用しています。
  3.畝のたて方

(1) 雑草やゴミ、石などを取り除きます。
(2) 全体を鍬またはロータリーでよく耕します。深さ20センチほどまで耕耘。
(3) 縄を張り、区画を決めます。
  境界杭を基準に、菜園全体の地縄を張り、続いて畝の大きなブロックに地縄を張ります。(このとき杭ではなく、園芸用のイボ竹支柱を利用すると、地縄を外したときに、畝のマークとなります))
  区画ごとに、畝の長さ方向に、地縄を張ります。
(4) 通路から土を畝に上げます。
  通路から鍬で土を畝に上げます。このとき畝の高さが10〜20センチになるように調整します。
(5) 完熟堆肥や腐葉土、苦土石灰を施し、よく耕します。
  畝の上に、完熟堆肥や腐葉土、苦土石灰などを施し、よく耕します。初めて栽培するところであれば、土壌酸度を測って酸度を調整し、1平米あたり完熟堆肥と腐葉土を5キログラムほど施します。(ちなみに完熟堆肥は1リットルあたり0.4キログラム、腐葉土は0.4〜0.6キログラムです。)
(6) 栽培するまで、畝の表面は荒らしたままにして、栽培する時には、元肥を施し、改めて畝を耕し、表面を均します。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」
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