野菜の園芸用土


  園芸用土とは

  野菜にかぎらず、果樹や草花を園芸用に栽培する土壌を用土(ようど)と呼びます。園芸用土はまた、基本用土と補助(改良)用土に分類され、育てたい野菜に適した土壌となるように配合して使用します。

  基本用土の種類

  基本用土とは、ホームガーデンの基本となる土壌で、畑や庭の土なども含まれます。代表的な用土とその特性はつぎのようになります。

Kuro-tsuchi     (1) 黒土(黒ぼく土)

  関東地方に分布する火山灰を母材とした表層土で、黒ぼく土とも呼ばれます。有機質が多く含まれますが、通気性や水はけは劣ります。


通気性

保水性

保肥性

pH




5.0-6.0
Akadama-tsuchi     (2) 赤玉土

  関東地方に分布する火山灰を母材とした下層土です。高温で焼成して粒状にしてあります。通気性や水はけ、水もちはよいですが、有機物は含まれません。ふるい分けられて、大粒や中粒、小粒として市販されています。


通気性

保水性

保肥性

pH




5.0-6.0
Arakida-tsuchi     (3) 荒木田土(田土)

  水田の下層土や河川の堆積土で、もともとは関東地方の荒川河岸の土をいいました。粘土質で重く、スイレンなど水生植物の栽培に使用されます。


通気性

保水性

保肥性

pH




5.5-6.5
Kanuma-tsuchi     (4) 鹿沼土

  栃木県産の火山灰を母材とした用土です。通気性や水もちがよく、やや酸性よりです。ツツジやサツキの用土として使用されます。


通気性

保水性

保肥性

pH




4.0-5.0
Yama-suna     (5) 山砂(真砂土)

  関西地方では、花崗岩が母材の真砂土(まさつち)が赤玉土と同じように使用されています。通気性は劣ります。(写真は真砂土)


通気性

保水性

保肥性

pH




5.0-6.0
Kawa-suna     (6) 川砂(桐生砂)

  群馬県産の桐生砂や東海地方、矢作川の矢作砂、富士山周辺の富士砂などがあります。通気性がよく、山野草やラン類の栽培に使用されます。(写真は桐生砂)


通気性

保水性

保肥性

pH




6.0-7.0
Peat moss     (7) 水苔

  湿原に生えるミズゴケを乾燥させたもので、通気性と水もちに優れます。山野草や着生ラン類の栽培に使用されます。


通気性

保水性

保肥性

pH




4.5-5.0

  補助(改良)用土の種類

  補助用土または改良用土は、基本用土の土壌を改良するために使用されます。有機質の用土と人工のものがあります。

Hums     (1) 腐葉土

  落葉広葉樹の葉を堆肥腐熟させたものです。有機物が豊富で通気性や保水性、保肥性がよく、基本用土に混ぜて使用されます。必ず完熟したものを使用してください。


通気性

保水性

保肥性

pH




6.0-7.0
Peat moss     (2) ピートモス

  寒冷な湿地帯でミズゴケが堆積し、腐植化したものです。腐葉土と同じような特性がありますが、酸性が強いため中和して使用します。


通気性

保水性

保肥性

pH




3.5-4.5
Charcoal     (3) 木炭・くん炭

  木材やヤシ殻、もみ殻などを蒸し焼きにして炭化させたものです。通気性や水もちがよく、土中の有害物質を吸着させる効果もあります。土壌の改良に使用されます。


通気性

保水性

保肥性

pH




8.0-9.0
Compost     (4) 堆肥

  針葉樹の樹皮に鶏ふんなどを加えて発酵させたバーク堆肥や、ふんを発酵させた牛ふん堆肥、馬ふん堆肥などがあります。


通気性

保水性

保肥性

pH




6.0-7.0
Pearlite     (5) パーライト

  真珠岩や黒曜石を高温高圧で焼成したものです。非常に軽く多孔質で、通気性や水もちに優れますが、保肥性はありません。


通気性

保水性

保肥性

pH




8.0-8.5
Vermiculite     (6) バーミキュライト

  蛭石(ひるいし)を高温で焼成したもので、非常に軽く薄い板状の多層構造です。ハンギングバスケットや種まきの用土として使用されます。


通気性

保水性

保肥性

pH




6.5-7.0
Zeolite     (7) ゼオライト

  沸石(ふっせき)を含む多孔質の石で、保肥性があります。鉢底などに敷いて根腐れ防止に使ったり、土壌の保肥力を良くする土壌改良材として使われます。


通気性

保水性

保肥性

pH




6.0-8.0

  鉢植えやプランターの土づくり

  鉢やプランター、コンテナで栽培するときの土づくりは、庭や畑に比べて土の量が少なく、水やりの頻度が多いため、通気性や水はけをよくしておく必要があります。
  さまざまな培養土も市販されています。植える量が少ないときには便利ですが、自分で配合するのに比べてかなり割高となります。

赤玉土(真砂土) 腐葉土     基本の土は、赤玉土(または真砂土)
70%に腐葉土30%を混ぜたものです。この配合で、ふつうどのような樹木や草花にも適応します。
赤玉土(真砂土) 腐葉土     野菜や草花のときには、腐葉土を増やして40%にすることもあります。さらに通気性をよくしたいときには、桐生砂などを10%加えます。

  このほか、多肉植物やサボテン、ラン類などには違った用土が使用されますが、ふつうの野菜や草花にはあくまでも基本の配合をベースに考えてください。あとは経験が手助けしてくれるはずです。
  それと注意したいのは、赤玉土などを袋入りで購入したときに、微塵(みじん)と呼ばれる粉状の部分を使用しないことです。これは通気性が悪く、できるだけふるいで落とします。
  また、腐葉土の代わりに、腐葉土にバーク堆肥や牛ふん・馬ふん堆肥などを混合したものを使用すると、よりよい用土になります。

  変わった用土の配合

  ほとんどの野菜や草花には、赤玉土(または真砂土)70%に腐葉土30%を混ぜた基本用土で事足りますが、なかには配合を変えた用土を必要とするものもあります。赤玉土50%に腐葉土50%の配合が適している草花には、つぎのようなものがあります。

  「あさがお」、「アメリカンブルー」、「きく」、「さぼんそう」、「しゅうめいぎく」、「ステラ(バコパ)」、「ストレブトカーパス」、「ふうりんそう」、「ベロニカ」などです。

  写真提供: 「ボタニックガーデン」
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