だいず(大豆)
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プロフィール
マメ科ダイズ属の一年草で、学名は Glycine max ssp. max。
中国の東北部が原産と考えられています。わが国へは縄文時代に渡来しました。果実は莢果で、若い種子は茹でて「えだまめ(枝豆)」として、また成熟した種子は豆腐や油揚げ、納豆や醤油、味噌それに大豆油などの原料に利用されます。「くろだいず(黒大豆)」や「ちゃまめ(茶豆)」も仲間です。
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系統・品種と用途
「だいず」には、おもに「えだまめ」として利用する「早生系統(夏だいず)」と「中生系統(中間型)」、それに成熟した種子を利用する「晩生系統(秋だいず)」とに分けられます。
さらに兵庫県の丹波地方の「黒大豆」や山形・新潟県の「茶豆」などがあり、「えだまめ」としても利用されます。
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栽培のポイント
「だいず」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。
ふつう早まきには早生種、遅まきには中〜晩生種を選びます。
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気候区分
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作業
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1
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2
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3
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8
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9
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10
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11
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温暖地 |
種まき |
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植えつけ |
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収穫 |
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早生・中生系統 |
気候区分
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まきどき (春|秋)
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収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
05/上〜06/上 |
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07/中〜09/上 |
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寒冷地 |
04/下〜06/中 |
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07/下〜09/中 |
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温暖地 |
04/中〜06/下 |
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06/下〜09/下 |
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暖 地 |
04/上〜07/上 |
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06/中〜10/上 |
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ご注意
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発芽温度は10〜35℃、生育温度は15〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。
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晩生系統(秋だいず) |
気候区分
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まきどき (春|秋)
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収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
栽培不向き |
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寒冷地 |
06/中〜07/中 |
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10/中〜11/中 |
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温暖地 |
06/中〜07/中 |
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10/下〜11/下 |
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暖 地 |
06/下〜07/下 |
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11/上〜12/上 |
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ご注意
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寒地・寒冷地では、10月以降に収穫適期に入る晩生・極晩生種は、冷涼な気候の影響を受け、収量が少なくなります。
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℃
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152025
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発芽適温
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25-30
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生育適温
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18-28
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栽培のポイント
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比較的冷涼な気候を好み、酷暑は苦手です。昼夜の温度差が大きいところほど、よいマメがとれます。
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pH
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5.06.07.0
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土壌酸度
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6.0-7.0
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栽培のポイント
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強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。土性は軽い砂土から埴土まで選びませんが、過湿にも乾燥にも弱いので注意してください。
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年
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0 |
1 |
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3 |
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6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
作付け間隔
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2-(3)
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栽培のポイント
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連作障害の出やすい野菜です。いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
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栽培のステップ
「だいず」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。
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ステップ
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内容
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種まき・育苗
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(1) 3号ポットにタネまき用土を入れ、タネを3粒、間隔をあけて、人差し指1節くらいの深さにあけた穴にまきます。覆土をして、軽く手で押さえます。
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(2) たっぷりと水を与え、植えつけまで日当たりのよいところで育てます。
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畑の準備
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(1) 酸性土壌にやや弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100gの苦土石灰を施し、よく耕します。
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(2) 畝の中央に、深さ15〜20センチの溝を掘るか、全面に1平方メートルあたり2kgの完熟堆肥と50gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。
肥料とくに窒素分は少なめに施肥します。
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植えつけ
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(1) 本葉が2〜3枚に育ったころ、成長の遅れているものを間引いて、2本立てにします。
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(2) 本葉が4枚のころ、条間45センチに早生・中生種は30センチ、晩生種は45センチ間隔で植え穴をあけ、根を傷めないように注意して苗を植えつけます。8号鉢に1株、65センチのプランターなら3〜4株が植えられます。
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追肥
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(1) 花が咲き始めたら、必要に応じて有機配合肥料を株元にまいて土寄せします。窒素分が多いと葉ばかりが繁茂して莢のつきが悪くなるので、控えめに与えます。
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(2) 乾燥が続くと莢に実が入らなくなるので、適切な水やりが大切です。
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収穫
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(1) 莢がまだ青く、大部分が充実してきたら「えだまめ」の収穫の時期です。株ごと引き抜くか、充実した莢だけを選んで収穫します。タネまきから収穫までの目安は、
○極早生種(70〜75日) ○早生種(75〜80日) ○中早生種(80〜85日) ○中生種(85〜90日)
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(2) 「だいず」として収穫するときは、秋になって枯れるまで待ちます。
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おもな病害虫
「だいず」には、カメムシ類やマメコガネなどの害虫がつきます。
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おもしろ百科
「稲架(はざ)干し」
農家では、「だいず」は田んぼの畔(あぜ)によく栽培されています。稲刈りが終わったころ、あいた稲架(はざ)に収穫した「だいず」を干します。
「だだちゃまめ」
山形県や新潟県の在来品種、「だだちゃまめ」。「だだちゃ」とは、山形県庄内地方の方言で、父や主人のことを指します。
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「だいず(えだまめ)」のQ&A
Q1:「えだまめ」のタネが鳥に食べられてしまいました。
A1:「えだまめ」のタネは、ハトやカラスによく狙われて食べられてしまいます。これを避けるには、タネが発芽するまで寒冷紗をかけたり、ハウスやビニールトンネルで、本葉が3〜4枚くらいなるまでビニールポットで育苗するようにします。
Q2:「えだまめ」がかたくて、美味しくありません。
A2:「えだまめ」には早生から晩生までのさまざまな品種があります。早生品種はタネまきから80日前後、中生品種は85日ほどで収穫の適期となります。この時期を逃すと、莢が黄色くなり始め、マメがかたくなっていきます。 また「えだまめ」は、枝から切り離すと一気に味が落ちるので、できるだけ早く食べるようにしてください。
Q3:「えだまめ」の着莢数に違いがあります。
A3:「えだまめ」の収量は栽培環境によって大きく異なります。一般的には早生種は少なく、晩生品種は多くなります。1株当たりの着莢数の一例は、極早生種30〜40莢、早生種80莢前後、中晩生種100莢以上です。
Q4:「えだまめ」に実が入りません。
A4:「えだまめ」は、花が咲いているときに土壌が乾燥すると、実つきが悪く、空莢も増えます。開花期に雨が降らず、乾燥してしまうときは、水やりをするしかありません。また、チッ素肥料の過多で、枝や葉が徒長し、「つるボケ」状態になったときも、実つきが悪くなります。
Q5:「えだまめ」はいつごろまきますか。
A5:「えだまめ」には、早生種や中・晩生種があります。このうち早生種は、長日条件でもよく開花し結実しますが、中・晩生種は、比較的短日条件でないと、開花や結実がたいへん悪くなってしまいます。したがって早生種は、4月ごろから、中・晩生種は5月中旬から6月中旬がまきどきとなります。
Q6:「えだまめ」のタネまきの基準は。
A6:「えだまめ」は、開花の時期に乾燥させると、実入りが悪くなります。したがって、開花の時期を雨の季節に合わせることが得策です。早蒔きは、開花の時期を梅雨(関東地方では6月上旬〜7月下旬)に合わせ、遅蒔きでは、開花の時期を秋の長雨(関東地方では9月中旬〜10月上旬)に合わせます。
Q7:「えだまめ」の熟期について。
A7:「えだまめ」の熟期の基準は、つぎの通りです。
極早生: 70〜 75日
早 生: 75〜 80日
中早生: 80〜 85日
中 生: 85〜 90日
中晩生:100〜110日
晩 生:110〜120日
極晩生:120日〜
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写真提供: 「ボタニックガーデン」 イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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