はくさい(白菜)


    プロフィール

  アブラナ科アブラナ属の二年草で、学名は Brassica campestris var. amplexicaulis。
  中国の北部が原産です。わが国へは江戸時代の終わりに渡来し、明治時代に本格的に普及しました。葉は結球性で、中心部から巻いていきます。春に中心部から花茎を伸ばして、黄色い花を咲かせます。中国では「だいこん」、「豆腐」とともに、養生三宝と呼ばれる健康食品です。
  系統・品種と用途

  「はくさい」は、市場に出回る種類としては、「春はくさい」、「夏はくさい」それに「秋冬はくさい」に大別されます。また形態的には、「結球はくさい」と「半結球はくさい」に、さらに「結球はくさい」はその結球形態(球被り)から、「包被型(葉と葉が重なり合う)」と「抱合型(葉と葉が抱き合う)」に分けられます。
  栽培のポイント

  「はくさい(中・晩生種)」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。
  なお、春まきに使用される品種は、晩抽・低温結球性に優れる極早生種または早生種に限られます。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/中〜07/下   07/中〜10/下  
寒冷地 03/下〜05/上 07/下〜08/中 06/下〜08/上 10/中〜11/下
温暖地 03/中〜04/下 08/上〜09/上 06/中〜07/中 10/下〜12/下
暖 地 02/下〜04/中 08/中〜09/中 06/上〜06/下 11/上〜02/下

ご注意

  発芽温度は5〜40℃、生育温度は10〜25℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

18-22

生育適温

15-20

栽培のポイント

  高温や低温に弱く、比較的適温の幅が狭い野菜です。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.5-7.0

栽培のポイント

  ほとんど中性に近い土壌を好みます。酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

作付け間隔

2-(3)


栽培のポイント

  「根こぶ病」などの連作障害がでますので、いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「はくさい」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき

(1) 連結ポットまたは3号ポットにタネまき用土を入れ、4〜5粒ずつ点まきします。




(2) 3ミリほどの覆土をして、軽く押さえ、十分に水を与えます。

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100gの苦土石灰を施し、よく耕します。

(2) 畝全体に、1平方メートルあたり2kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料を施し、よく混ぜ込みます。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

間引き
植えつけ

(1) 本葉が1〜2枚のころに3本に間引き、本葉が3〜4枚くらいのころに2本立ちにします。








(2) 本葉が4〜5枚になったころ、条間45センチ、株間40〜50センチの間隔に2本立ちのまま植えつけます。(極早生種は、株間30センチほどです。)

間引き
追肥

(1) 本葉が6〜7枚になったころ、生育が遅れたものを間引き1本立ちにします。また株元に少し土寄せします。








(2) 定植後3週間くらいから、2週間に1回の割合で、化成肥料を株の周りに追肥として与えます。

(3) アブラムシやコナガなどの害虫がよくつきますので、防除を怠らないようにします。
  ただし、アブラナ科の植物なので、スミチオン系の殺虫剤を散布すると薬害がでます。

収穫

(1) 球頭がかたく締まってきたら、球と外葉とのあいだに包丁を入れて切り取り収穫します。








(2) 長く収穫するには、寒さよけのために外葉を縛っておきます。

(3) 収穫した「はくさい」を保存するときは、新聞紙にくるんで冷暗所に置くようにします。

(4) 抽苔(とうだち)したときは、花茎を「なばな」として利用します。
  おもな病害虫

  「はくさい」には、コナガの幼虫が大敵です。アブラムシやヨトウムシなどにも注意が必要です。
  「はくさい」のQ&A

  Q1:「はくさい」がうまく結球しません。なぜですか。
  A1:「はくさい」が結球するには、10月中旬から11月上旬までに60〜100枚の葉が必要です。秋どり「はくさい」でタネまきが遅れると、このときまでに葉が確保されず、うまく結球しないことになります。その原因としては、平均気温13〜15℃で花芽分化し、新しい葉が生えてこなくなるからです。ふつう、8月中旬ごろがまき時ですが、それより早いと、夏の暑さで苗の生育が難しく、また軟腐病やアブラムシなどの病虫害の発生も大きくなります。

  Q2:「はくさい」が腐って枯れてしまいます。
  A2:「はくさい」の外葉付け根や、結球基部が褐色に変色し、腐敗して悪臭を放つのは「軟腐病」だと考えられます。土壌水分が多く、空気の湿度も高い条件で発生しやすくなります。また、害虫に食害されたころから病原菌が侵入します。そのため、水はけを良くすることと、害虫の防除を徹底することが大切です。

  Q3:「はくさい」の白い軸に、多数の黒い斑点が発生しました。
  A3:これは、「はくさい」自体がもつ生理反応によるもので「ゴマ症」といわれています。種々の栽培環境を原因とするストレスに「はくさい」の細胞が対応し、ポリフェノール類の蓄積による細胞壁の変色が、黒い外観として顕れたものです。大きな原因としては、肥料成分である窒素の過剰が考えられます。

  Q4:「はくさい」のタネ袋にある60日や70日というのは何。
  A4:タネまきから収穫までの日数を表しています。ふつう「はくさい」の品種は、生育日数によって次のように分類されます。(確たる基準はありませんが)
(1) 極早生種 50〜60日
(2) 早生種(わせ) 65〜75日
(3) 中生種(なかて) 80〜90日
(4) 晩生種(おくて) 90〜120日
※早生と中生のあいだを中早生種、中生と晩生のあいだを中晩生種と呼ぶこともあります。

  Q5:「はくさい」の黄芯(球内色)が薄いのですが。
  A5:「黄芯はくさい」の球内色は、品種によっても濃淡があります。また、熟期を過ぎると一般的には、球内色が褪せるようになります。

  Q6:「はくさい」を上手に保存するには。
  A6:「はくさい」の保存方法は、畑の場合と家庭内とに分けられます。
○畑で貯蔵しようとすると、冬の寒風や霜などに晒され、球の先端部の柔らかい葉や外側にある葉が乾燥して、徐々に球が痩せていくようになります。方法としては、霜の降り始めに、すでに収穫した株のしおれた葉を、残った球の上から被せます。さらに多くの外葉で包み込むようにして、わらや紐などで包むと、かなり長期間貯蔵することができます。
○家庭内では、丸ごとなら新聞紙に包んで、冷暗所(5〜10℃)に立てて保存します。また外葉からはがして使う場合は、芯を切り取って水を含んだ新聞紙をはさみ、ラップで包んで冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。カットした場合は、傷みやすいのでラップで包んで冷蔵庫に入れ、早めに使うようにします。

  Q7:「はくさい」の包被型と包合型の違いを教えて。
  A7:「はくさい」の結球形態(球被り)は、次のように分類されます。
  (1) 包被型は、結球葉が互いに重なり合っているものをいい、包頭連系の品種が多く、この型の結球は最外葉がまず結球の態勢に入って、中から結球が充実してきます。
  (2) 包合型は、結球葉が互いに重なり合わず、頭の部分でかち合う程度の結球のものをいい、芝罘系の品種が多く、結球の外葉も内葉も一緒に発育しながら結球を充実させます。
  (3) 中間型は二者の混在するもの、または結球の最外葉は包合で内葉は包被型を示します。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
[Home]



大地の歓びをつたえ、ホームガーデンとともに