ケール(羽衣甘藍)


    プロフィール

  アブラナ科アブラナ属の二年草で、学名は Brassica oleracea var. acephala。
  ヨーロッパの地中海沿岸が原産です。野生キャベツの近縁とされ、高さは1〜2メートルになります。茎は直立し、葉は円形から長円形で結球しません。ヨーロッパでは古くから栽培され、中世の終わりまではもっとも一般的な緑色野菜のひとつになっていました。現在では、ヨーロッパの中・北部と北アメリカが主産地になっています。
  系統・品種と用途

  「ケール」は、わが国へは江戸時代に導入され、「はごろもかんらん(羽衣甘藍)」と呼ばれます。葉にはビタミンやミネラルが豊富で、葉緑素や食物繊維を多く含んでいます。ただ、その独特の香りから、おもに青汁用として利用されています。
  栽培のポイント

  「ケール」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

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3

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11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫


気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/中〜06/中   07/下〜10/下  
寒冷地 04/上〜07/上   07/中〜11/上  
温暖地 02/中〜03/中 07/中〜08/中 06/上〜07/下 10/中〜12/下
暖 地 02/上〜03/中 07/下〜08/下 05/下〜07/中 10/下〜01/中

ご注意

  発芽温度は8〜35℃、生育温度は5〜25℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

15-30

生育適温

15-20

栽培のポイント

  冷涼な気候を好みますが、栽培可能の温度範囲も5〜25℃と広いため、各地で栽培できます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.5-7.0

栽培のポイント

  中性に近い、弱酸性を好みます。強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

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4

5

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7

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10

作付け間隔

1-(2)


栽培のポイント

  根こぶ病などの連作障害が起こりますので、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「ケール」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 3号ポットや連結ポットにタネまき用土を入れ、タネを4〜5粒をまきます。覆土は薄く、タネがかくれる程度にします。たっぷり水を与え、乾かないように発芽までは新聞紙などをかけておきます。








(2) 発芽が揃ったら、3本に間引き、本葉が1〜2枚のころに1本立てにします。

(3) 本葉が5〜6枚になるまで育苗します。

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100gの苦土石灰を施し、よく耕します。

(2) 畝の全面に、1平方メートルあたり2kgの完熟堆肥と120gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

植えつけ

(1) 本葉が5〜6枚くらいに育ったころ、株間40〜45センチくらいに植えつけます。根鉢は崩さないようにしてください。




(2) 植えつけの後にたっぷりと水を与えます。

(3) 大型の野菜なので、地植えがふつうですが、深型のプランターやコンテナなどでも栽培できます。

追肥・管理

(1) 本葉が10枚くらいになったら、必要に応じて、畝の両側に有機配合肥料を施して土寄せします。






(2) 肥え切れさせないように、生育をみながら追肥を施します。

(3) 害虫を避けるために、べた掛け資材で被ったり、病害虫の早期発見、早期防除に心がけてください。

収穫

(1) 生育のよい葉から、摘み取って収穫します。




(2) ふつうは青汁用にされますが、ロールキャベツやサラダ、パスタ、スープなどにも利用できます。
  おもな病害虫

  「ケール」には害虫がつきやすいので注意が必要です。また、連作すると根こぶ病や萎黄病などが発生します。アブラムシ類やシンクイムシ類、アオムシ、コナガなどの害虫、べと病や灰色かび病などの病気が発生します。
  「ケール」のQ&A

  Q1:「ケール」で苦味が少ない品種はありますか。
  A1:「ケール」といっても、種類はさまざまです。最近では、苦味が少ない食用ケールが増えてきています。
(1) カーボロネロ(黒キャベツ)
イタリア・トスカーナ地方が原産、葉形は細長く、表面がちりめん状で濃い緑色をしています。ミネストローネやロールキャベツなどの煮込み料理向きです。
(2) カーボロリーフグリーン(ゴズィラーナ)
ケールとカーボロネロとの交配種で、カーボネロよりも葉の幅が広く、少しやわらかいのが特徴です。ケール特有のクセが少なく、茹でたり炒めたりする料理向きです。
(3) カーリーケール
細かくカールした葉が特徴です。ケール特有のクセがないため、サラダや野菜ジュースに向きます。
(4) コラードケール
ブロッコリーの葉のように、楕円形でしわのない葉が特徴です。ジュースやスムージ向きですが、炒めたり茹でたりでして食べることもできます。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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