にがうり(苦瓜)


    プロフィール

  ウリ科ツルレイシ属の一年草で、学名は Momordica charantia。
  正式には「つるれいし(蔓茘枝)」といいますが、別名の「にがうり」や沖縄の「ゴーヤ(苦い)」のほうが一般的です。熱帯アジア原産の農作物で、ビタミンCを豊富に含み、その苦味とあわせて夏バテ防止にも役立ちます。沖縄では、もっぱら豆腐と炒めてチャンプルーにしますが、豚キムチに加えてもなかなかです。
  系統・品種と用途

  「にがうり」は、丈夫で育てやすい夏野菜です。未熟な果実を収穫しますが、表面が緑色の品種のほかに、白色の品種もあります。系統的には長果種と短果種とがあります。
  栽培のポイント

  「にがうり」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/下〜06/上   07/下〜09/中  
寒冷地 04/中〜06/中   07/中〜09/中  
温暖地 04/上〜06/中   07/上〜09/下  
暖 地 03/下〜06/中   06/中〜09/下  

ご注意

  発芽温度は15℃以上、生育温度は15〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

25-30

生育適温

20-30

栽培のポイント

  高温性のため、露地で発芽させると収穫時期がおそくなります。できるだけ保温や加温して、早めに育苗することがポイントです。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-7.5

栽培のポイント

  酸性に弱いので、酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。また保水力のよい土壌を好みます。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

作付け間隔

1-(2)


栽培のポイント

  連作は好ましくありません。いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「にがうり」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) タネの一部に傷をつけ、一昼夜給水させます。










(2) 3号ポットに用土(培養土)を入れ、タネを3〜4粒、間隔をあけてまきます。覆土は1センチくらいです。25℃程度の温度に保温してください。

(3) 本葉が1枚のころに間引いて2本だてに、2枚のころに1本立てにします。

畑の準備
支柱立て

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり150gの苦土石灰を施し、よく耕します。




(2) 畝の全体に、1平方メートルあたり3kgの完熟堆肥と80〜100gの有機配合肥料をまいてよく耕します。幅90〜120センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

(3) 2条植えの場合、条間60センチ、株間45〜90センチで植えつけることを想定して、高さ1.8メートルほどの支柱を立てておきます。定植したあとでも構いません。

植えつけ

(1) 本葉が3〜4枚くらいに育ったころに植えつけます。








(2) 条間60センチ、株間45〜90センチに植え穴をあけ、苗を植えつけます。10号鉢に1株、65センチのプランターなら2株が植えられます。

(3) 植えつけの後にたっぷりと水を与えます。

摘芯・追肥

(1) 本葉が5〜6枚になったころ、親蔓を摘芯し、小蔓を4〜5本伸ばすようにします。(親蔓には雌花が少ないため)








(2) 50センチ以上に伸びたころ、有機配合肥料を少量、株元に施します。同様に2週間ごとに、少量の追肥を施します。

(3) 生育が旺盛になると、蔓が込みあってきますので、混んだ蔓は摘みとるようにします。

収穫

(1) 開花から15〜20日がたち、長果種が20〜30センチ、また短果種は10〜20センチになったころ、未熟果を収穫します。










(2) 緑色種は果実が緑色に色づき、白色種は表面のこぶが十分に膨らんできたころが収穫期です。果梗は硬いので、はさみで切り取ります。
  おもな病害虫

  「にがうり」には、アブラムシ類やハダニ類などの害虫、うどんこ病などの病気が発生します。
Bitter cucumber
    おもしろ百科

  「熟れた果実」

  果実は完熟すると、表面が黄色くなり、裂開して赤いゼリー状の仮種皮に包まれたタネがでてきます。このゼリーには「あけび」のような甘さがあります。


  「にがうり」のQ&A

  Q1:「にがうり」のタネが発芽しません。
  A1:「にがうり」の発芽適温は25〜30℃です。高温性のため、露地で発芽させると収穫時期がおそくなります。できるだけ保温や加温して、早めに育苗することがポイントです。また、タネは皮がかたく、水分を吸収しにくいので、ペンチなどでタネの一部を傷つけて、数時間から一昼夜ほど水に浸して、吸水させてからタネまきします。発芽するまでは、水を切らさないようにしますが、過湿になると、タネが酸欠で腐ったり、発芽不良になったりします。

  Q2:「にがうり」の果実から赤いタネが。
  A2:「にがうり」の果実は完熟すると、表面が黄色くなり、裂開して赤いゼリー状の仮種皮に包まれたタネがでてきます。このゼリーには「あけび」のような甘さがあります。

  Q3:「にがうり」の収穫の目安は。
  A3:開花から15〜20日がたち、長果種が20〜30cm、また短果種は10〜20cmになったころ、未熟果を収穫します。緑色種は果実が緑色に色づき、白色種は表面のこぶが十分に膨らんできたころが収穫期です。

  Q4:「にがうり」の苦さを見分けるには。
  A4:「にがうり」は、全体的に緑色が濃くてイボが小さいものは苦味が強く、反対に緑色が薄くてイボが大きめのものは苦味が弱いと言われています。これは、色が濃くてイボが小さいものは、まだ成長しきっていなくて、苦みが多く含まれるからです。また品種による違いもあり、「白ゴーヤ」や「なめらかゴーヤ」は、ふつうの「にがうり」に比較して、苦みが少なめです。なお「にがうり」のイボは、貯水庫の役割をしているとも言われています。

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
[Home]



大地の歓びをつたえ、ホームガーデンとともに