にら(韮)


Leek

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    プロフィール

  ユリ科ネギ属の多年草で、学名は Allium tuberosum。
  東アジアが原産で、わが国へは9世紀ごろ薬用として渡来しました。8月から9月ごろ、花茎を伸ばして散形花序をだし、小さな白い星形の花を咲かせます。ニラ臭さはなく甘い香りがあります。中国料理や朝鮮料理の素材となりますが、軟白栽培した葉は黄ニラ、花茎は花ニラと呼ばれています。カロチンの含有率が非常に高く、他の栄養素も豊富に含むそうです。
  系統・品種と用途

  「にら」は、あちこちに雑草化していることからわかるように、とても丈夫で育てやすい野菜です。いちど植えれば、毎年2〜3回の収穫ができます。ただ良い葉を収穫するには、3〜4年ごとに株分けやタネまきなどで株を更新することが必要です。
  栽培のポイント

  「にら」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

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3

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11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫

(春)
(秋)


気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/下〜05/中   06/中〜10/上  
寒冷地 04/上〜05/上   05/中〜10/中  
温暖地 03/中〜04/下 09/上〜09/下 04/中〜10/下 07/上〜10/下
暖 地 03/上〜04/中 09/中〜10/上 04/上〜11/上 07/上〜11/上

ご注意

  発芽温度は10〜25℃、生育温度は5〜28℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

17-22

生育適温

15-25

栽培のポイント

  冷涼な気候を好むため、夏は風通しのよい場所で栽培します。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-6.5

栽培のポイント

  中性に近い、弱酸性を好みます。強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

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6

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9

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作付け間隔

2-(3)


栽培のポイント

  あまり連作障害はでませんが、いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「にら」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) タネは発芽しにくいので、まく前に一晩、水に漬けておきます。

(2) 苗床は、1平方メートルあたり100〜150gの苦土石灰で中和したあと、3kgの完熟堆肥と150gの有機配合肥料をよくすき込んでおきます。
  よく均したあと、畝の直角方向に、条間10センチで深さ1センチほどのまき溝をつけ、1センチ間隔くらいに条まきします。覆土は5ミリくらい掛けるようにします。

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(3) または、育苗箱にタネまき用土を入れ、条間10センチで深さ1センチほどのまき溝をつけ、1センチ間隔くらいに条まきするか、薄くばらまきします。

(4) 草丈が20センチくらいになるまで育苗します。必要に応じて、有機配合肥料を追肥として与えます。播種から定植ができる株になるまで、春まきで3か月、秋まきで6か月ほどかかります。

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100〜150gの苦土石灰を施し、よく耕します。

(2) 畝の全面に1平方メートルあたり3kgの完熟堆肥と150gの有機配合肥料をよくすき込んでおきます。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

植えつけ

(1) 草丈が20センチくらいに育ったころ、根を傷めないように掘りあげます。

(2) 条間20〜25センチ、株間10〜15センチくらいで、3条植えにします。1か所に3〜4株ずつまとめて植えつけます。

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(3) 65センチのプランターなら、株間10センチくらいに3〜4株ずつまとめて植えつけます。

追肥・管理

(1) 1か月に1回くらい、生育をみながら有機配合肥料を追肥として与えます。

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(2) 定植後は、3週間ごとに2〜3センチ、成長点が埋まらない程度に土寄せを2〜3回します。

(3) 乾燥しやすい畑では、株元に敷きわらをして夏の乾燥を防ぎます。

(4) 草勢いが弱ってきたら、古い葉や抽台した茎を刈り取り、揃いのよい新芽を出させるようにします。

(5) 冬になると地上部は枯死しますが、これを刈り取ったあと、防寒のために完熟堆肥や腐葉土で被っておきます。

(6) 根が混み合ってくると品質が落ちるので、3〜4年がたって株が大きくなり、根元が混み合ってきたら、株分けしてください。

収穫

(1) 播種の翌年から収穫できます。収穫は年に4〜5回を目安とします。

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(2) 草丈が20〜25センチになったら収穫します。地上4〜5センチのところから刈り取ります。刈り取り後はすぐに追肥して、芽生えを促します。

(3) 夏になると、抽苔(とうだち)するので、早めに摘み取って株が弱らないようにします。抽苔した花茎と蕾は「花にら」と呼ばれ、食べることができます。
  おもな病害虫

  「にら」には、あまり病虫害がありません。アブラムシがつくことがありますが、ウイルスを媒介するので早期に駆除します。
  「にら」のQ&A

  Q1:「にら」が抽苔してきました。
  A1:「にら」は7月下旬から8月にかけて、抽苔(とうだち)してきます。そのままにすると花が咲き、株が疲れますので、早めに摘み取っておきます。

  Q2:「にら」の株が大きくなり、密生してきました。
  A2:「にら」は、定植して2年くらいたつと、株が大きくなり密生してきます。こうなると幅広で厚い葉がとれなくなってきますので、株を掘りあげて分割し、地上部を切ってから新たに植え付けるようにします。このとき、切り口に土が被さったりしないように気をつけてください。
「にら」の株分け更新の時期は、葉が枯れ、根株が休眠状態になっている冬の間です。堀りあげたら、株を大割り、小割して、2〜3株ずつに分割します。条間20〜25センチ、株間10〜15センチに、1か所に2〜3株ずつまとめて植えつけます。

  Q3:「にら」の葉をやわらかく栽培するには。
  A3:「にら」は、堆肥を十分に入れた有機物の多い土壌で、直射日光のあまり当たらない、やや湿り気のある場所で栽培すると、葉が柔らかくなります。肥料としては、チッ素とカリの多いものを施すようにします。また「にら」は、ふつう草丈が20〜25cmで収穫しますが、これを15cmくらいで早めに収穫すれば、柔らかくて味も香りも良いものになります。
※JA庄内みどりの出荷基準
L: 40〜45cm、M: 35〜40cm

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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