パセリ(オランダ芹)


Parsley     プロフィール

  セリ科オランダゼリ属の二年草で、学名は Petroselinum crispum。
  ヨーロッパの中部から南部、アフリカ北部が原産です。わが国へは江戸時代に渡来しました。和名では「オランダぜり」と呼ばれます。濃い緑色の縮れた葉が特徴で、2年目の夏に緑がかった黄色の花が咲き、種子ができると枯れてしまいます。
  系統・品種と用途

  「パセリ」は、ポピュラ−な料理用ハ−ブで、肉や野菜料理の飾りに使われます。利尿や生理痛、殺菌にも効果があるといわれます。「イタリアンパセリ」は「パセリ」の変種で、平らな葉と穏やかな香りが特徴です。
  栽培のポイント

  「パセリ」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

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温暖地

種まき

植えつけ

収穫


気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 03/下〜05/中   07/上〜10/下  
寒冷地 03/中〜05/上   06/下〜11/中  
温暖地 03/上〜04/下 08/中〜09/中 06/中〜12/中 03/上〜05/中
暖 地 02/下〜04/中 08/下〜09/下 06/上〜12/下 11/下〜04/上

ご注意

  発芽温度は80〜25℃、生育温度は4〜25℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


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発芽適温

15-20

生育適温

15-20

栽培のポイント

  冷涼な気候を好むため、盛夏には生育が衰えますが、ふつうの手入れで十分に夏越えします。また、氷点下になっても越冬するので、家庭用としては周年栽培できます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-6.5

栽培のポイント

  中性に近い、弱酸性を好みます。強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


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作付け間隔

1-(2)


栽培のポイント

  いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「パセリ」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) タネは発芽しにくいので、まく前によく水洗いして、発芽抑制物質を洗い流しておきます。

Parsley

Parsley

Parsley

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(2) 育苗箱に、1センチくらいの間隔でばらまきするか、連結ポットに4〜5粒ずつまきます。好光性のため、覆土はごく薄く、タネがかくれる程度にします。

(3) 本葉が2枚のころに、3号ポットに移植して、本葉が5〜6枚になるまで育苗します。育苗期間は長くて、ふつう70日ほどかかります。

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり苦土石灰100gを施し、よく耕します。

(2) 畝の全体に、1平方メートルあたり完熟堆肥3kgと有機配合肥料120gを施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

植えつけ

(1) 本葉が5〜6枚くらいに育ったころ、株間20〜30センチくらいに植えつけます。

Parsley


(2) 移植を嫌うので、根を傷めないように気をつけ、また株元を埋めすぎなしようにします。植えつけの後にたっぷりと水を与えます。

(3) 5号深鉢に1株、65センチの深型プランターなら5株が植えられます。根が真っ直ぐに伸びる性質があるので、なるべく深いものを使用してください。

追肥・敷きわら

(1) 生育のようすを見ながら、2〜3週間に1回くらい、畝の肩に追肥して土寄せします。プランターなどでは、半月に1回、固形有機配合肥料などを施し、用土によく混ぜ込みます。

Parsley

Parsley


(2) 夏の乾燥する時期には、株元に敷きわらをします。

収穫

(1) 本葉が13〜15枚になったころからが収穫期です。外側の下葉から摘み取ります。

Parsley

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(2) たくさん収穫できたときは、水洗いをしてから冷凍保存しておくと便利です。使う直前に取り出して、手で軽くもむとパセリのみじん切りになります。

(3) 花茎が伸びてきたら、早めに摘み取ります。収穫しないで放任すると多年草化しますが、よい葉を収穫するには、毎年タネをまいて更新するようにします。
  おもな病害虫

  「パセリ」にはほとんど病気は発生しませんが、アブラムシ類やキアゲハ、ナメクジなどの害虫がよくつきます。
Parsley     おもしろ百科

  「イタリアンパセリ」

  ヨーロッパでは、平たい葉の「イタリアンパセリ」の方がポピュラーです。葉や葉柄が柔らかく、また香りが穏やかなことからサラダをはじめとして、いろいろな料理に使われています。
  「パセリ」のQ&A

  Q1:「パセリ」が抽苔してきました。
  A1:「パセリ」は、ある程度の大きさになった苗が、0℃くらいの低温に1か月以上晒されると、その後の高温と長日で抽苔(とうだち)してきます。抽苔した株は、葉が硬くなって食べられなくなりますので、できるだけつぼみは早く摘みとるようにします。

  Q2:「パセリ」が立ち枯れました。
  A2:.「パセリ」が立ち枯れるのには、いくつかの原因が考えられます。株の外葉が黄化し萎凋する「萎凋病」や、株が生育不良で引き抜くと地際に近い茎が褐変している「立枯れ病」、株は萎凋し引き抜くと地際に近い茎から主根部がくびれている「根くびれ病」などです。病株は抜きとって持ち出し、処分することが必要です。連作は避けるようにしてください。

  Q3:「パセリ」の葉が白っぽくなりました。
  A3:「パセリ」の葉にうどん粉をまぶしたように白くなってしまうのは、「うどん粉病」だと考えられます。この白いカビのようなものは胞子で、菌糸を伸ばして栄養分を吸収します。このため葉や茎がねじれたり、ひどい場合には黄色くなって枯れてしまいます。対応としては病変部を取り除き、殺菌剤を散布するようにします。

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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