らっかせい(落花生)


Peanut     プロフィール

  マメ科ラッカセイ属の一年草で、学名は Arachis hypogaea。
  南アメリカの熱帯地域が原産です。わが国へは江戸時代の初めに渡来しました。
  現在ではおもに千葉県や茨城県、神奈川県などで栽培されています。輸入ものも多く、おもに中国や南アフリカ、アメリカなどから輸入されています。
  系統・品種と用途

  「らっかせい」には、側枝が比較的直立する「立らっかせい」と「半立らっかせい」、側枝が著しく伸びて地面を這う「這いらっかせい」の系統があります。
  収穫した莢をそのまま塩ゆでにした「ゆで豆」、莢を天日乾燥させて、莢つきのまま炒った「炒りざや」、莢をとって炒った「炒り豆」などとして利用されます。そのほか「ピーナッツバター」や油脂の原料としても利用されています。
  おもな品種として、
(1) 千葉半立:晩生(開花後95日で熟期)、炒り豆用
(2) ナカテユタカ:中生(開花後80日で熟期)、炒り豆&ゆで豆用
(3) 郷の香:早生(開花後75日で熟期)、ゆで豆用
(4) おおまさり:晩生(開花後90日で熟期)、ゆで豆用
(5) 千葉P114号(Qなっつ):中生(開花後80日で熟期)、炒りざや用
  栽培のポイント

  「らっかせい」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

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12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/上〜06/上   10/上〜10/中  
寒冷地 05/上〜06/上   09/下〜10/下  
温暖地 05/上〜06/上   09/中〜10/下  
暖 地 05/上〜06/上   09/中〜10/下  

ご注意

  発芽温度は12〜40℃、生育温度は15〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

20-30

生育適温

25-27

栽培のポイント

  高温性で、積算温度が3000℃以上ないと収穫できません。東北地方中部より北での露地でのふつう栽培は難しそうです。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

5.3-6.6

栽培のポイント

  やや酸性の土壌でも育ちますが、乾燥した痩せ地を好みます。石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。砂質や火山灰質の軟らかい土壌が適しています。

 


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作付け間隔

2-(3)


栽培のポイント

  連作障害の出やすい野菜です。いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「らっかせい」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 3号ポットにタネまき用土(培養土)を入れ、タネを2〜3粒、間隔をあけて、人差し指1節くらいの深さにあけた穴にまきます。覆土をして、軽く手で押さえます。

Peanut

Peanut

Peanut


(2) たっぷりと水を与え、植えつけまで日当たりのよいところで育てます。

畑の準備

(1) 石灰分を好むので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100〜200gの苦土石灰を施し、よく耕します。

Peanut


(2) 畝に、深さ15〜20センチの溝を掘るか、全面に1平方メートルあたり1〜3kgの完熟堆肥と60gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。
  肥料とくに窒素分は少なめに施肥します。

植えつけ

(1) 本葉が2〜3枚くらいに育ったころに植えつけます。まず、成長の遅れているものを間引いて、1〜2本にします。

Peanut


(2) 畝に、条間45センチ、株間30センチに植え穴をあけ、苗を植えつけます。8号鉢に1株、65センチのプランターなら2株が植えられます。

(3) 植えつけの後にもたっぷりと水を与えます。

追肥・土寄せ

(1) 花が咲き始めたら、必要に応じて、有機配合肥料を株元にまいて混ぜ合わせ、土寄せします。

Peanut

Peanut


(2) 子房柄が土にもぐり込み始めたら、ふたたび土寄せします。

収穫

(1) 7月の初めごろから開花します。子房が発達して肥大を完成させるのは、7月下旬までに開花したものに限られるようです。

Peanut

Peanut


(2) 秋になり、葉が黄色くなってきたらそろそろ収穫です。試し堀りをして、莢に網目がでていて8割くらいの莢が充実していたら収穫します。
  おもな病害虫

  「らっかせい」には、アブラムシ類やハダニ類などの害虫がつきます。
  「らっかせい」のQ&A

  Q1:「らっかせい」のタネが食べられました。
  A1:「らっかせい」のタネを直まきすると、野鳥や野ネズミなどに食べられることが多くなります。これを防止するには、3号ポットなどにタネをまき、本葉が2〜3枚くらいになるまで育苗して、畑に定植します。

  Q2:「らっかせい」の実つきがよくありません。
  A2:「らっかせい」は石灰(カルシウム)を多く必要とする作物です。石灰が不足すると実入りがわるくなります。そのためタネまきの2週間以上前に、苦土石灰を1平方メールあたり100〜200gを施し、深めに耕します。窒素肥料が多いと「つるボケ」になり、莢つきがわるくなります。

  Q3:「らっかせい」の葉に黒斑がでた。
  A3:「らっかせい」の葉に黒色や茶色の斑点がでるのは、褐班病と思われます。病気に罹ると株の生育が悪くなります。根の生育が衰えると発生しやすいので、水はけのよい畑で栽培しするのが大切です。罹病したら、発生初期に殺菌剤を散布します。

  Q4:「らっかせい」はどこまで栽培できる。
  A4:「らっかせい」の生育適温は15〜25℃で、15℃以下では生育しなくなります。したがって、東北地方の寒冷地(年平均気温9〜12℃)が北限地となります。寒冷地での栽培は、マルチ栽培が基本となります。このときは、花が咲いたらマルチを外して、土寄せすることが必要です。

  Q5:「らっかせい」は北海道で栽培できますか。
  A5:「らっかせい」を北海道で栽培するしようとすると、マルチ+トンネル栽培が基本となります。5月上旬にポットにタネまきして育苗し、5月下旬に定植するか、6月下旬にマルチ直まきします。ゆで豆用としては、9月中旬〜10月上旬、炒り豆用としては、10月上旬〜中旬が収穫期となります。(資料:JAグループ北海道)

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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