しそ(紫蘇)


Shiso     プロフィール

  シソ科シソ属の一年草で、学名は Perilla frutescens var. acuta。
  中国からヒマラヤが原産です。わが国には古く縄文時代に渡来していたようです。昔は「いぬえ」とか「のらえ」と呼ばれていました。栽培品種を大別すると青じそと赤じそに分類されます。今や日本料理には欠かせない存在です。夏から秋にかけて、枝先に穂状花序をだし、白色または薄紫色の小さな花を咲かせます。
  系統・品種と用途

  「しそ」は、大別すると「あおじそ」と「あかじそ」があります。葉の表が緑色で、裏側が赤紫色の「片面じそ」もあります。それぞれに葉が平らなふつうの種類と、縮みのはいる「縮緬じそ」があります。
  栽培のポイント

  「しそ」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

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温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/上〜06/上   08/上〜09/中  
寒冷地 04/下〜06/中   07/下〜09/下  
温暖地 04/中〜06/下   06/下〜10/上  
暖 地 04/上〜06/下   06/中〜10/中  

ご注意

  発芽温度は20〜30℃、生育温度は15〜30℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


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発芽適温

20-25

生育適温

20-25

栽培のポイント

  高温性のため、タネまきは十分暖かくなってから行ってください。前年のこぼれタネがよく発芽してきますが、香りのよい葉を収穫するためには、毎年新しいタネをまき直したほうが賢明です。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-6.5

栽培のポイント

  中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


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作付け間隔

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栽培のポイント

  連作は可能です。
  栽培のステップ

  「しそ」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) タネが固くて給水しづらいので、一昼夜水に浸しておきます。
  連結ポットや3号ポットにタネまき用土を入れ、5〜6粒ずつタネをまきます。好光性のため覆土は薄くします。
  また新しいタネは休眠しているので、3月までは発芽しません。

Shiso

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(2) こみあったところを間引き、本葉が2枚のころまでに一本立ちにします。

(3) 本葉が4〜6枚になるまで育苗します。

畑の準備

(1) 強い酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり80〜100gの苦土石灰を施し、よく耕します。

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(2) 畝の全面に、1平方メートルあたり1〜3kgの完熟堆肥と40〜80gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。そのあと幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

植えつけ

(1) 本葉が4〜6枚くらいに育ったころに植えつけます。

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(2) 畝に、条間45センチ、株間20〜40センチの間隔で植え穴を掘り、根を傷めないように注意して植えつけます。
  1か所に2株を植え、混み合ってきたら途中から間引いて1本立ちにしてもかまいません。

(3) 6号鉢に1株、65センチのプランターには、ちどりに4株を植えることができます。

摘芯・追肥

(1) 草丈が15〜20センチになったころ、摘芯して側枝を増やします。また畝の両脇に有機配合肥料を追肥し、土寄せします。

Shiso

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(2) 生育期には、半月に1回くらい、必要に応じて液肥や有機配合肥料を追肥します。肥切れすると葉が大きくなりません。

(3) 乾燥を嫌いますので、夏にはいる前に敷きわらをして、水やりを欠かさないようにします。

収穫

(1) 本葉が10枚以上になったころから、下の方の葉から摘み取っていきます。

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(2) 花穂じそは、つぼみの30%くらいが開いたころに収穫します。刺身のつまや天ぷらに利用できます。

(3) 穂じそは、下の方が少し結実して、上の方に花が残っているころに収穫します。天ぷらや漬け物に利用できます。
  おもな病害虫

  「しそ」には、アブラムシ類やハダニ類、シソフシガ、ベニフキノメイガなどの害虫がつきます。
  「しそ」のQ&A

  Q1:市販の「おおば」のような形状や香りになりません。
  A1:「大葉青しそ」は、「あおじそ(青紫蘇)」の一種です。この名前は、昭和36年ごろ、静岡県のツマ物生産組合が、青大葉ジソの葉を摘んでオオバの名で大阪の市場に出荷したことに因みます。現在では、愛知県の豊橋市や豊川市、田原市が主産地になっていますが、それぞれの生産組合では、門外不出の品種を育成しています。従って、市販の種子で栽培した「大葉青しそ」とは、形状や香りの点でかなり異なります。

  Q2:「しそ」の株が小さいうちに花芽ができました。
  A2:「しそ」は、短日植物で日長が14時間以下になると花芽分化を起こします。ふつう8月下旬から9月上旬に花穂がでてきます。タネをまく時期が遅かったり、夏に日陰に置きっぱなしで日光に当てなかったりすると、株が小さくても花芽ができます。

  Q3:「しそ」の香りが弱いのはなぜですか。
  A3:「青しそ」にもいろいろな品種があり、香りの強さも品種によって大きく異なります。一般的に「青しそ」の香りは、肥料切れやチッ素過多、有機質不足、あとは病虫害で株が弱ったときなどに弱くなります。その香りをできるだけ強くするには、完熟堆肥を十分に施し、有機肥料や有機化成を与えるようにします。

  Q4:「しそ」の葉が丸まり、食害されます。
  A4:「しそ」の葉が丸まり、葉が食害されるのは「ベニフキノメイガ」の加害です。幼虫は葉を糸でつづりあわせて中にすみ、葉を網目状に食害します。被害をうけた部位を取り除き、必要に応じて殺虫剤を散布します。

  Q5:「赤しそ」の葉が、赤くなりません。
  A5:「赤しそ」を太陽光の強くないところで育てると、アントシアニンによって葉緑体を太陽光から保護する必要がないため、赤色のアントシアニンが発達せず、葉緑体の緑色が見えているようになります。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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