そらまめ(空豆)
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プロフィール
マメ科ソラマメ属の一年草で、学名は Vicia faba。
中央アジアから地中海沿岸にかけてが原産です。エジプトから古代ギリシャ時代にはすでに栽培されていました。わが国へ伝わったのは江戸時代以前です。
冷涼な気候に適していて、開花・結実のためにはある程度の寒さにあうことが必要です。秋にまき、初夏に収穫する作型がふつうです。
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系統・品種と用途
「そらまめ」は、未熟でまだ緑色の若いマメを茹でて食べます。完熟したマメは、煮豆や炒り豆、甘煮などに利用されます。「おいしいのは3日」といわれるほど鮮度が落ちやすいので、すぐに調理することが大切です。
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栽培のポイント
「そらまめ」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。
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気候区分
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作業
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1
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3
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11
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温暖地 |
種まき |
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植えつけ |
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収穫 |
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気候区分
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まきどき (春|秋)
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収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
02/中〜03/下 |
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06/下〜07/下 |
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寒冷地 |
02/上〜03/中 |
09/下〜10/下 |
06/中〜07/中 |
05/下〜06/下 |
温暖地 |
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10/中〜11/中 |
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05/中〜06/中 |
暖 地 |
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10/下〜11/下 |
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05/上〜06/上 |
ご注意
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発芽温度は〜35℃、生育温度は5〜23℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。
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℃
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152025
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発芽適温
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20
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生育適温
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16-20
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栽培のポイント
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幼苗期は寒さに強く、0℃になっても寒害をうけません。ただ果期には耐寒性が弱くなります。また、高温や乾燥に非常に弱いので注意してください。
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pH
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5.06.07.0
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土壌酸度
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6.5-7.0
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栽培のポイント
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酸性に弱いので、酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。また保水力のよい土壌を好みます。
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年
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0 |
1 |
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6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
作付け間隔
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3-(4)
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栽培のポイント
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連作障害の出やすい野菜です。いちど栽培したところでは、少なくとも3年は栽培しないようにしてください。
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栽培のステップ
「そらまめ」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。
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ステップ
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内容
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種まき・育苗
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(1) 3号ポットに用土(培養土)を入れ、タネを1粒、「おはぐろ」の部分を斜め下に向けて差し込みます。
覆土は浅め、少しタネが見えるくらいが適当です。覆土が深いと、発芽率が悪くなります。
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(2) たっぷりと水を与え、植えつけまで日当たりのよいところで育てます。
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畑の準備
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(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100〜120gの苦土石灰を施し、よく耕します。
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(2) 畝の全面に、1平方メートルあたり2〜3kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。
肥料とくに窒素分は少なめに施肥します。肥料が多いといわゆる「つるぼけ」を起こし、収穫量が減ってしまいます。
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植えつけ
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(1) 本葉が3〜4枚くらいに育ったころに植えつけます。
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(2) 畝に、条間45センチ、株間40センチで植え穴をあけ、苗を植えつけます。8号鉢に1株、65センチのプランターなら2株が植えられます。
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(3) 植えつけの後にもたっぷりと水を与えます。防寒対策として、株のまわりにわらや堆肥を敷いておきます。寒さや風の強いところでは、不織布を掛けておきます。また寒冷地で、土壌凍結の強いところでは、二重トンネルが必要となります。
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追肥・整枝 支柱立て
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(1) 春、高さが20〜30センチになったら、有機配合肥料を株元にまいて土寄せします。
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(2) 高さが40〜50センチになったら、大きい側枝を残して5〜7本に整枝(間引き)します。
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(3) 高さが60〜70センチになったら、茎の先端を摘芯して成長を止めます。
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(4) 摘芯後、支柱を立てて枝を固定するか、四隅の支柱をひもで囲んで葉の広がりを抑えます。
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収穫
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(1) 斜め上を向いていた莢がマメの重みで垂れ下がり、背の筋が黒褐色になってきたら収穫時期です。
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(2) 莢を触って、マメのかたちが確認できたものを収穫します。
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おもな病害虫
「そらまめ」には、アブラムシ類がよくつきます。また菌核病やうどんこ病、赤色斑点病などの病気も発生します。
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おもしろ百科
「そらまめ」
名前の由来は、未熟な莢が空に向かって伸びることから「空豆」。また、莢のかたちが蚕(かいこ)に似ていることから「蚕豆」と書かれることもあります。
「おはぐろ」
「そらまめ」をみると、縁にへこんだ黒い線があります。ここはふつうお歯黒(おはぐろ)と呼ばれ、芽や根が出てくるところです。
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「そらまめ」のQ&A
Q1:「そらまめ」にアブラムシがついて困ります。
A1:「そらまめ」の茎葉、とくに枝先には栄養分が集中するため、アブラムシがよくつきます。発生したアブラムシには殺虫剤を散布するか、アブラムシがついた枝先を切り詰めて焼却するなどの方法があります。草丈70〜80cmになったころ、枝先を摘芯するとアブラムシの予防になります。
Q2:「そらまめ」の株が倒伏してしまいます。
A2:「そらまめ」は、ふつう1m以上の草丈になります。このまま育てるには、四隅に支柱を立てて紐を張ります。支柱を立てたくないときは、高さ70〜80cmで摘芯します。大苗で越冬させると、高節位に着果して倒伏しやすくなります。また、チッ素過多でも茎葉が過繁茂して倒伏しやすくなります。
Q3:「そらまめ」を蒔くタイミングはいつ。
A3:「そらまめ」はタネをまいてから1週間から10日ほどで発芽します。また育苗して本葉が3〜4枚くらいに育ったころに植えつけるので、タネまきから定植までは30日ほどです。「そらまめ」は苗の植え付けが早いと大きく育ち過ぎるので、適切な時期にタネをまくことが大切です。苗を早く植えて、本葉が7〜8枚以上に育ち過ぎると、寒害に遭いやすくなります。
Q4:「そらまめ」の葉に白い斑点がつきました。
A4:「そらまめ」の葉に白い斑点がつくのは、さび病だと思われます。4月ごろに発生して、葉に青みを帯びた白色の小斑点ができ、やがて盛り上がった褐色病班になります。発病は下葉から始まり、しだいに上の葉に広がります。病葉を早めに摘みとるほか、発生初期に殺菌剤を散布します。
Q5:「そらまめ」を北海道で育てるには。
A5:「そらまめ」を北海道に育てるには、春まきにします。3月下旬に、20℃くらいに保温した室内でポットにまきます。4月上旬、発芽したら屋外に出し、1か月くらい外気の寒さに当てます。5月上旬に本葉が2〜3枚になったころ定植します。ハウス内か、露地なら黒マルチで被います。収穫は7月中旬くらいからです。
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写真提供: 「ボタニックガーデン」 イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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