たいさい(体菜)


Pak choi     プロフィール

  アブラナ科アブラナ属の一年草で、学名は Brassica rapa var. chinensis。
  中国の揚子江流域が原産です。この「たいさい」型の栽培品種は、わが国へも古くに渡来し、体菜や長岡菜などの地方品種も生まれています。青茎の「チンゲンさい」も、昭和40年代の終わりごろに導入されました。今では、葉柄が浅緑色のものを「チンゲンさい(青梗菜)」、白色のものを「パクチョイ(白菜)」と呼ぶように統一されています。
  系統・品種と用途

  「たいさい」型のなかでは、「チンゲンさい」がもっとも一般的に栽培されています。また「せっぱくたいさい(雪白体菜)」は、おもに「つまみ菜」用として利用されています。
  栽培のポイント

  「たいさい」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ
 

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/中〜08/中   07/上〜10/中  
寒冷地 04/中〜09/上   06/上〜10/下  
温暖地 04/上〜05/下 09/上〜10/中 05/下〜07/中 10/中〜12/中
暖 地 03/中〜05/下 09/中〜10/下 05/上〜07/中 10/下〜12/下

ご注意

  発芽温度は6〜35℃、生育温度は5〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

20-25

生育適温

15-20

栽培のポイント

  冷涼な気候を好みますが、耐寒性や耐暑性があり、簡単な保温や遮光をすると、早春から秋まで栽培できます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.5-7.0

栽培のポイント

  ほとんど中性に近い土壌を好みます。酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

作付け間隔

2-(3)


栽培のポイント

  「根こぶ病」などの連作障害がでますので、いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「たいさい」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100gの苦土石灰を施し、よく耕します。

(2) 畝全体に、1平方メートルあたり2kgの完熟堆肥と80gの有機配合肥料を施し、よく混ぜ込みます。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

種まき

(1) 3号ポットまたは連結ポットにタネまき用土を入れ、4〜5粒ずつ点まきします。3〜5ミリの覆土をして、軽く押さえ、十分に水を与えます。

(2) 畝と直角方向に20センチ間隔でまき溝をつけ、1センチ間隔で直まきしても構いません。




植えつけ

(1) ポットまきのときは、本葉が出たころに間引き、1本立てにします。本葉が4〜5枚になったころ、15〜20センチ間隔に植えつけます。

(2) 本葉が出たころから葉が触れあわないように間引いていき、本葉か4〜5枚になったころに15〜20センチ間隔にします。








追肥
害虫防除

(1) 定植後2週間くらいのころ、必要に応じて、株間に有機配合肥料を追肥として与えます。






(2) 第1回目追肥の半月後に、有機配合肥料を追肥として与えます。

(3) アブラムシやコナガなどの害虫がよくつきますので、防除を怠らないようにします。
  ただし、アブラナ科の植物なので、スミチオン系の殺虫剤を散布すると薬害がでます。

収穫

(1) 播種後、春は45〜55日、夏は35〜45日、秋は50〜65日くらいで収穫できます。










(2) 株が大きくなりすぎると品質が悪くなります。できるだけ早く収穫してください。

(3) 春早くまいて、12〜13℃以下の低温にあうと花芽ができ、すぐに抽苔(とうだち)します。その前に収穫してください。
  おもな病害虫

  「たいさい」には、コナガの幼虫が大敵です。アブラムシやヨトウムシなどにも注意が必要です。
  「たいさい」のQ&A

  Q1:「チンゲン菜」が抽苔した。
  A1:「チンゲン菜」は、低温で花芽分化し、その後の長日条件で抽苔(とうだち)します。春まきでは、生育の早い品種を選ぶとともに、できるだけ桜の花が咲いた後に蒔くようにします。抽苔(とうだち)したときも、花が一輪咲く前に収穫して、食べることができます。
※シードバーナリゼーション(種子春化)型: タネが発芽したときから低温に感応して花芽を分化します。

  Q2:「チンゲン菜」の根にコブができ、株がしおれた。
  A2:チンゲン菜の根にコブができ、株がしおれるのは根こぶ病と考えられます。罹ると根にコブを生じ、生育が悪くなり、ひどいと株が枯れます根こぶ病は、アブラナ科作物を連作したり、酸性土壌であったり(土壌pHが4.6〜6.5で多発)、土壌水分が多すぎるときに発生しやすくなります。病株は抜きとり、持ち出し処分します。
根こぶ病の予防としては、
○アブラナ科以外の作物と輪作する。
○前作(5〜7月)におとり作物を栽培し、土壌中の病原菌密度を下げる。
○土壌殺菌剤などによる全面処理。

※おとり作物(抵抗性葉ダイコン、エンバク、ホウレンソウなど)
根こぶ病菌はおとり作物の根に感染しますが、コブを作らず菌は増殖できないため、土壌中の病原菌密度を低減できます。おとり作物は播種後1〜2か月栽培し、すき込み後、栽培と同程度の期間で十分に腐熟させます。

  Q3:「チンゲン菜」の葉縁が褐変し、内側に巻き込んできました。
  A3:「チンゲン菜」の葉縁が褐変するのは、高温や乾燥でカルシウムの吸収が悪くなるときに発生する「チップバーン」と呼ばれる生理障害です。またカルシウムが欠乏すると、葉縁が内側に巻き込む「カッピング」といわれる生理障害も起きやすくなります。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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