あさがお(朝顔)
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プロフィール
ヒルガオ科サツマイモ属の一年草で、学名は Ipomoea nil。
アジアが原産です。わが国へは、今から1200年ほど前、遣唐使によって中国から伝えられました。もともとは薬用で、種子が牽牛子(けんごし)と呼ばれ、下剤や利尿剤として利用されました。茎は蔓性で長さは3メートル以上になります。花や葉に変化が大きく、7月から8月ごろ、漏斗形の花を咲かせます。
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系統・品種と用途
「あさがお」は、夏の風物詩として古くから栽培されてきました。在来種には園芸品種が多く、花色も豊富です。一般的には大輪系ですが、蔓が伸びない矮性種や変わり咲き種もあります。近年、「アメリカあさがお(西洋あさがお)や多年草の「のあさがお」、「まるばあさがお」も導入され、種間交雑種も育成されています。
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栽培のポイント
「あさがお」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。 「あさがお」の在来系品種(Native variety)と西洋系品種(Western variety)では、開花時期に違いがあります。
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気候区分
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作業
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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7
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8
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9
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10
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11
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12
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温暖地 |
種まき |
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植えつけ |
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花期 |
(N) (W)
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(在来系)
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気候区分
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まきどき (春|秋)
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収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
05/中〜06/下 |
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08/上〜09/下 |
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寒冷地 |
05/中〜06/下 |
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08/上〜09/下 |
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温暖地 |
05/上〜06/下 |
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07/下〜10/中 |
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暖 地 |
04/下〜06/下 |
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07/中〜11/上 |
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(西洋系)
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気候区分
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まきどき (春|秋)
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収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
05/中〜06/下 |
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08/下〜10/上 |
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寒冷地 |
05/中〜06/下 |
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08/下〜10/上 |
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温暖地 |
05/上〜06/下 |
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08/下〜10/下 |
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暖 地 |
04/下〜06/下 |
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09/上〜11/上 |
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ご注意
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発芽温度は15〜30℃、生育温度は10〜40℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。
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℃
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152025
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発芽適温
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20-25
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生育適温
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15-25
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栽培のポイント
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朝または夕方の涼しいときに、土の表面が乾いたら水やりしてください。
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pH
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5.06.07.0
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土壌酸度
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6.0-7.0
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栽培のポイント
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水はけのよい、中性に近い弱酸性を好みます。強い酸性土壌では石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。
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年
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0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
栽培間隔
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1-(2)
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栽培のポイント
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連作障害がでますので、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
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栽培のステップ
「あさがお」を栽培するとき、種まきから開花期までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。
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ステップ
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内容
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種まき・育苗
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(1) 発芽適温が20〜25℃と高いので、十分暖かくなってからタネまきします。
タネは吸水しにくいので、一晩水に漬けてからまくか、種皮(種子の胚以外の部分)にかるく傷をつけてからにします。
3号ポットに2〜3粒ずつ、または育苗箱に5センチ間隔にまきます。覆土は1センチくらいです。
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(2) 発芽するまでは半日陰で管理して、水やりをかかさず、乾かないようにします。発芽したら日当たりのよい場所に移動します。
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(3) 本葉が3〜4枚になるまで育苗します。
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植えつけ
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(1) 本葉が3〜4枚になったころ、日当たりと水はけのよい場所に、株間15〜20センチで植えつけるか、5〜7号鉢に1株を目安に植えつけます。
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(2) 庭植えの場合は、植え付けの2週間以上前に、1平方メートルあたり苦土石灰100gと完熟堆肥3〜4kg、有機配合肥料30〜50gをすき込んでおきます。鉢植えの場合は、赤玉土小粒5に腐葉土4、川砂1の割合で混ぜたものに有機配合肥料を加えたものを用土とします。
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生育管理
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(1) 水やりは、土の表面が乾いたら与えます。水切れは禁物です。ただし、梅雨の時期に水をやりすぎると、つぼみがつきません。
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(2) 庭植えの場合、フェンスやトレリスに絡ませます。鉢植えの場合は、あんどん仕立てが一般的です。「あさがお」用のあんどんを利用します。蔓の摘芯を繰り返し、小さく育てる盆栽仕立てもあります。
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(3) 蔓が強ければそのまま伸ばし、弱々しければ摘芯します。
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(4) 生育期に、有機固形肥料の置き肥か10日1回の液肥を与えます。窒素分の多い肥料を与えすぎると花つきが悪くなるので、注意が必要です。
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おもな病害虫
「あさがお」には、比較的病害虫が少ないですが、おもな病害虫はつぎのようなものです。
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病害虫名
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症状
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対策
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アブラムシ類
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体長2〜4ミリの小さな虫が、新芽や茎に群がって汁を吸います。
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パイベニカ乳剤やオレート液剤などの殺虫剤を散布します。小面積の散布には、スプレータイプが手軽です。
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ハダニ類
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葉の裏に寄生して汁を吸います。被害が進むと白っぽく絣(かすり)状になります。
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テルスタースプレーやパイベニカスプレー、園芸用でんぷんスプレーなどの殺虫剤を散布します。
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蔓割れ病
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初夏から秋にかけて、土壌中の糸状菌によって、日中に葉がしおれたり、茎の地ぎわ部が病変してきます。
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発病した株は抜き取って焼却し、5年くらいはウリ科やヒルガオ科の植物を栽培しないようにします。また連作を避けることも必要です。
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「あさがお」のQ&A
Q1:「あさがお」(西洋系)がまだ咲きません。
A1:西洋あさがおは短日性で、ふつうは夜長になる8月のお盆のころにつぼみがつき始め、9月になって花が咲くようになります。見頃は秋ですが、冬の始めまで咲き続けます。
Q2:「あさがお」のあんどん仕立てを教えて。
A2:あんどん仕立ては、ふつう5号鉢〜7号鉢で栽培します。本葉が4枚のころに定植し、本葉が8枚くらいで最初の摘芯です。5節の上くらいの位置で切り取ります。摘芯すると残った葉腋から子蔓が2〜3本伸びてくるので、20cmほど伸びたころ、一番つぼみが多い子蔓を残し、あとは切り落とします。この子蔓が支柱よりも高く伸びたら、もう一度摘芯し、伸びた孫蔓をなかで、一番花芽が多い孫蔓を残すようにして摘芯します。
また、「あさがお」の蔓は右巻きなので、あんどんに誘引する時も、必ず右巻きになるようにします。(蔓が時計廻りに回りながら伸びていく場合が右巻きです。)
Q3:「あさがお」のまき方のポイントは。
A3:「あさがお」は種皮が硬いのでまく前に一晩水に漬けるか、「へそ」を傷つけないように注意して、爪切りのヤスリでかるく傷をつけておきます。タネをまくときは、背を上にして、「へそ」の部分がやや上に向くようにします。覆土は1cmほど、これが浅かったりすると、皮をかぶったまま伸びてきます。タネの直線部分が腹、弧の部分が背、そして凹んだ部分が「へそ(胚)」です。
Q4:「あさがお」の花が咲きません。
A4:「あさがお」の花が咲かないのには、いくつかの原因が考えられます。「あさがお」は短日植物で、日照時間が短くなると花をつけ始めます。そのため夜間、街灯や部屋の照明によって明るい場所に置くと、咲かないことがあります。また、チッ素肥料が多くても、茎葉ばかり茂って花が咲きにくくなります。
Q5:「あさがお」の盆栽仕立てを教えて。
A5:あんどん仕立ては、ふつう5号鉢〜6号鉢で栽培します。本葉が4枚のころに定植し、本葉が5〜6枚くらいで最初の摘芯です。子蔓が2本、2〜3cmに伸び、3枚目の葉がはっきりしたころ、親蔓の先を本葉3枚残して摘芯します。(このとき、双葉は取り除きません)3枚目の本葉は、一週間ほどしたら摘葉します。その後子蔓が伸び、花芽が2個ずつついて、その花梗が立ち上がってきたら、2個ずつ花芽を残し、その先を摘芯します。つぼみに色が見え始め、あと4〜5日で開花すると思われたら液肥を中止します。さらに蔓が伸びたら脇芽1本と花芽2個を残して摘芯し、2本の本蔓からそれぞれ1本の子蔓、孫蔓と伸ばしていき、それぞれに2個ずつの花を咲かせるように繰り返します。
Q6:「あさがお」の葉に白い斑点がでています。
A6:「あさがお」の葉に白い小さな斑点の集合が出るのは、酸性雨や光化学スモッグが原因です。被害がひどいときには茶褐色の大きな斑点となり、枯れていきます。特徴としては、幼い葉や葉脈に被害がないことです。
Q7:「ヘブリンーブルー」の花が、青色だけではありません。
A7:「あさがお」の花の色素はアントシアニンです。アントシアニンは、リトマス試験紙と同様に、溶液のpHによって色合いが変わります。酸性で赤く、アルカリ性で青くなります。ちなみに「ヘブンリーブルー」のアントシアニンは「ヘブンリーブルーアントシアニン(HBA)と呼ばれます。これは、つぼみのときの花弁はpH6.6で赤紫色に発色し、開花するとpH7.7になって青色、そして萎れると再び酸性に傾いて赤っぽくなります。
Q8:「あさがお」の葉が、同じ蔓でも形が違うのはなぜですか。
A8:「あさがお」の野生型の葉は、並葉と呼ばれる主片と1対の翼片をもった形でしたが、品種改良によって、蝉葉(せみば)や芋葉(いもば)が出やすくなってきました。蝉葉(蜻蛉葉)とは、主片に翼片が2〜3対できる変異体、芋葉(丸葉)とは、翼片を全くつくらない変異体です。この翼片の有無やその数は遺伝子によって制御されていますが、葉の形を一義的に決めているのではなく、ある許容範囲を決めているに過ぎません。従って、翼片の数のバラツキは、翼片の数を制御する遺伝子の働きが、生理的要因によって強まったり弱ったりすることで発現します。また、本葉の形は、最初の葉から2〜3枚くらいまでは定まりません。その後は品種の特徴を現す形が多くなります。
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画像提供: ボタニックガーデン イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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