おおひえんそう (大飛燕草)

Dwarf Chinese delphinium     プロフィール

  キンポウゲ科ヒエンソウ属の多年草で、学名は Delphinium grandiflorum。
  中国北部からモンゴル、シベリアが原産です。草原や潅木帯に生え、高さは15〜60センチになります。葉は掌状に羽状深裂し、互生します。裂片は線状披針形から狭線形です。夏に総状花序をだし、青紫色から青色の花を咲かせます。花弁のように見えるのは萼片で、錐状の距があります。園芸品種も数多く作出され、シネンシス系と分類されています。また園芸品種では距のないものもあります。
  系統・品種と用途

  「おおひえんそう」は、別名で「おおばなひえんそう(大花飛燕草)」、「デルフィニウム・グランディフロルム」とも呼ばれます。このシネンシス系のほかに、八重咲きで高性のパシフィックジャイアント系、やや草丈が低めのリトル系、それに一重咲きのベラドンナ系などがあります。寒冷地を好み、夏に涼しい地域では容易に宿根します。
  栽培のポイント

  「おおひえんそう」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

2

3

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10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

花期

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 03/中〜04/中 07/中〜08/中 09/上〜10/上 07/上〜08/上
寒冷地 03/上〜04/上 07/上〜08/上 07/中〜08/中 06/中〜07/中
温暖地   09/下〜10/下   05/上〜06/上
暖 地   10/上〜11/上   04/中〜05/中

ご注意

  発芽温度は10〜25℃、生育温度は5〜25℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

15-20

生育適温

10-20

栽培のポイント

  冷涼な気候を好み、暑さにはとても弱い草花です。寒さには強いですが、寒冷地では霜除けをした方が賢明です。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-8.0

栽培のポイント

  水はけのよい、中性に近い弱アルカリ性を好みます。酸性土壌では石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

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3

4

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6

7

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9

10

栽培間隔

1-(2)


栽培のポイント

  多年草ですが、連作を嫌いますので、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「おおひえんそう」を栽培するとき、種まきから開花期までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) タネが細かいので、タネまき用土を入れた連結ポットや育苗箱にばらまきします。嫌光性なので、1〜2ミリほど覆土を掛けます。
  発芽適温が15℃前後と低いので、秋まきのときは、早まきしないことが大切です。

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium


(2) 本葉が2〜3枚のころ、3号ポットに1株ずつ植えかえ、本葉が5〜6枚まで育苗します。

Dwarf Chinese delphinium


植えつけ

(1) 本葉が5〜6枚になったころ、日当たりと水はけのよい場所に、株間30センチで植えつけるか、6〜7号鉢に1株を目安に植えつけます。

Dwarf Chinese delphinium


(2) 庭植えの場合は、1平方メートルあたり完熟堆肥3kgと苦土石灰100g、有機配合肥料50gなどをすき込み、鉢植えの場合は、赤玉土小粒7に腐葉土3の割合で混ぜたものに緩効性肥料を用土とします。

生育管理

(1) 追肥は2月と5月、それに10月ごろに有機固形肥料を与えます。窒素分は控えめにしてください。

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium

Dwarf Chinese delphinium


(2) 土が乾いてきたら水やりをしますが、乾き気味に管理します。また寒さには強いですが、寒地や寒冷地では霜除けが必要です。

(3) 草丈が高くなるので、伸びてきたら支柱を立てて固定します。

(4) 花後、切り戻して株元からでる芽を2〜3本にすると、再び花が咲きます。ただし、暑さに弱いので、日除けなどをして涼しくすることが必要です。
  おもな病害虫

  「おおひえんそう」に発生するおもな病虫害は、つぎのようなものです。

病害虫名

症状
対策

アブラムシ類

  体長2〜4ミリの小さな虫が、新芽や茎に群がって汁を吸います。

  パイベニカ乳剤やオレート液剤などの殺虫剤を散布します。小面積の散布には、スプレータイプが手軽です。

ヨトウムシ類

  昼間は株もとなどに潜み、夜に葉を食害します。

  探し出して駆除します。多発する場合には、オルトラン粒剤やオルトラン水和剤などを散布します。

灰色かび病

  低温多湿時に発生します。花やつぼみ、茎葉などに灰色のかびが生えます。

  繁殖力が強いので、早めに発生した部位を取り除き、焼却します。そのあとベンレート水和剤やトップジンMゾル、ダコニール1000などを散布します。
  「おおひえんそう」のQ&A

  Q1:「デルフィニウム」の花穂が咲き終わりました。
  A1:「デルフィニウム」の咲き終わった花穂は、一番上の葉の上で切り取ります。株が充実していると、数本の花穂が次々に伸びてきます。切り花にする場合、葉はなるべく株に残すようにします。

  Q2:「デルフィニウム」の花穂が貧弱です。
  A2:「デルフィニウム」の花穂が貧弱なのは、秋から冬までの肥料が不足し、株が充実しなかったためです。株が十分に生育しないと、春に伸びてくる花茎も貧弱になってしまいます。春に新芽が伸び始めるころにも、追肥をしてください。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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