種まき−2


  1.はじめに(直まきか育苗か)

  まず最初に問題になるのが、そのタネを直接畑の畝に蒔いて、そのまま育てる「直まき栽培」にするのか、タネを一旦、育苗箱や連結ポット、ポリポットに蒔き、育苗してから畑の畝に移植する「育苗栽培」にするのかの選択です。
  「直まき」にせよ「育苗」にせよ、それぞれに利点と欠点があります。

        




  (1)「直まき」の利点と欠点

○「直まき」の利点としては、畑の畝に直接蒔くため、比較的労力が掛からないこと、育苗資材が必要ないこと、移植による根の傷みがなく比較的丈夫に育つこと、などがあります。
○「直まき」の欠点としては、蒔き時期が限られること、蒔いたあと潅水や保温がし難いため、発芽後の生育に不揃いが出やすいこと、病害虫や鳥獣害を防ぐための防虫ネットが必要になる、などがあります。




  (2) 「育苗」の利点と欠点

○「育苗」の利点としては、手元でタネ蒔きから育苗ができるため、ひ弱な幼苗期を手厚く管理てできること、比較的間引きが楽なこと、定植時には大きくなっていて畑での生育期間を短縮できること、保温や遮熱をすることによってタネ蒔きの時期を広げることができる、などがあります。
○「育苗」の欠点としては、育苗資材が掛かること、保温や照明用の電気代が掛かること、育苗や植付けの手間が掛かること、などがあります。
  この「直まき」か「育苗」かの選択については、つぎの野菜や花のタネまきの原則も考慮するが大切です。


  (3) 「直まき」するのが原則の野菜

  一般的に「直まき」が原則なのは、直根性の根菜類です。これらは移植すると根が傷むため、「直まき」が推奨されてします。
  また比較的、生育期間の短い葉菜類も適しています。マメ類も可能ですが、鳥獣害への防除が必要です。
  根菜類では「かぶ」や「ごぼう」、「だいこん」、「にんじん」、「はつかだいこん」など。葉菜類では「こまつな」や「しゅんぎく」、「ターサイ」、「チンゲンさい」、「ほうれんそう」、「みずな」、「ルッコラ」など。


  (4) 「育苗」するのが原則の野菜

  一般的に「育苗」が原則なのは、果菜類や葉菜類です。これらは育苗期間が長く、手元で管理した方がいい苗が育てられます。
  また「とうもろこし」やマメ類なども、「育苗」へと変わってきています。
  果菜類では「トマト」や「なす」、「ピーマン」、「きゅうり」、「にがうり」、「かぼちゃ」、「ズッキーニ」、「オクラ」など。葉菜類では「キャベツ」や「ブロッコリー」、「はくさい」、「ねぎ」、「たまねぎ」、「レタス」、「セロリ」、「みつば」、「しそ」、「トレビス」など。
2.タネの蒔き方

  タネの蒔き方には、「条播(条まき)」と「点播(点まき)」、それに「散播(ばらまき)」の3種類の方法があります。野菜の種類によって、この蒔き方や覆土の厚さなどが変わってきます。ここでは、ベッド幅90センチ、通路幅40〜60センチ、畝の長さ3メートルという畝を想定しています。

3条蒔き (@20cm)

雁木蒔き(@20cm)




  (1)「条播」(条まき・すじまき)

○「条まき」とは、タネをまく方法の一つで、一定の間隔を空けた溝(条)に沿ってタネをまく方法を指します。この方法は、タネを均等に配置することで発芽率が均一になり、成長が揃いやすくなります。
○苗が一直線に揃うので、間引きや追肥、土寄せなどの作業がし易いのが特徴です。
○株間が狭くても、全体的に日当たりや通風を確保できるメリットがあります。
○また条を畝と直角にする、「雁木(がんぎ)蒔き」にすると、収穫時期をずらして栽培できるというメリットもあります。

(a) 畝の表面を均し、板きれなどで幅1センチ、深さ1センチほどの溝をつけます。
(b) まき溝に1〜2センチの間隔をあけて、タネをまきます。
(c) 覆土(ふつうはタネの大きさの2〜3倍)を掛けて、軽く転圧します。転圧すると土壌中の水分がタネに吸収されやすくなります。
(d) タネ蒔きの後には、すぐ静かに潅水(水やり)をします。
  葉菜類の「あぶらな」や「こまつな」、「しゅんぎく」、「チンゲンさい」、「ほうれんそう」、「みずな」など適しています。また根菜類の「かぶ」や「にんじん」、「はつかだいこん」などにも合います。
  また「育苗」するものでも、「ねぎ」や「たまねぎ」は育苗箱に「条まき」します。

点蒔き (@30cm)

点蒔き(だいこん)

点蒔き(@30cmマルチ)

点蒔き(@15cm)
  (2)「点播」(点まき)

○「点まき」とは、タネをまとめて所定の間隔にまく方法です。 一般的に、ペットボトルのキャップや下面を使って、畝に小穴を作り、そこに数粒のタネを入れて、軽く覆土する方法です。このとき作物の種類や畝の条件によって、穴の深さやタネの数を調整します。
○「点まき」は発芽後の間引きが楽になることや、作物の成長空間を確保しやすくなる点がメリットとなります。株が大きくなる野菜や広い株間を必要とする作物が向いています。
○「点まき」には、穴あきマルチフィルムを利用すると、格段に能率が上がります。いろいろな条間や株間の穴あきマルチフィルムがあるので、利用してみてください。穴なしのマルチフィルムを使って、自由に穴を開けるという選択もあります。

(a) 畝の表面を均し、ペットボトルのキャップや下面などで、深さが一定になるように、直径3〜5センチの穴を開けます。
(b) タネが重ならないように、1穴に数粒ずつ蒔きます。このとき蒔くタネの数は、作物によって異なります。「だいこん」なら5〜6粒です。
(c) 蒔き穴に、周りの土やタネまき用土を掛け、軽く転圧するようにします。
(d) タネ蒔きの後には、すぐ静かに潅水(水やり)をします。

  おもに「だいこん」や「ごぼう」ですが、「とうもろこし」や「オクラ」、「いんげんまめ」、「えだまめ」に利用することもあります。



ばらまき(レタスMix)

ばらまき(しろつめくさ)
  (3)「散播」(ばらまき)

○「ばらまき」は、タネを地面に均等にばらまく方法です。この方法は、種蒔きの手間を減らし、大量のタネを効率的にまくことができます。
○「ばらまき」は特に、芝生や牧草、穀物などの広い面積で栽培される作物に適しています。
○「ばらまき」は、簡単で蒔く自体の作業時間は短いですが、手作業では均一に蒔くことが難しいことや間引きなどが難しいなどのデメリットがあります。

(a) 畝の表面を均し、全体に満遍なくタネをまきます。タネとタネの間隔は2センチを目標とします。
(b) 覆土は「ふるい」を使ってタネが見えなくなるほどに、均一に掛けるようにします。
(c) 覆土をした後に、クワや板きれなどで軽く転圧するようにします。
(d) タネ蒔きの後には、すぐ静かに潅水(水やり)をします。

  おもに「ベビーリーフ」や「はつかだいこん」、緑肥作物などで利用されます。
  3.覆土の意味

  ふつう覆土(土掛け)は、タネの大きさの2〜3倍掛けることと言われます。でもよくよく考えれば、自然界にある植物は覆土など必要としていません。タネは覆土がなくても、条件さえ揃えば発芽することができるのです。

  ではなぜ覆土をするのか。それは作物を育てるときに、タネを蒔いて発芽するまでの水分を保つことや、鳥や獣に食べられないようにするのが主な目的です。また、播種後に新聞紙や不織布で被うのも、この目的を補完することと言えます。

        
  写真提供: 「ボタニックガーデン」
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