雑草について


  1.はじめに

  かの牧野富太郎博士は、若き山本周五郎が「雑草」という言葉を口にしたところ、なじるような口調で次のようにたしなめたそうです。「きみ、世の中に雑草という草は無い。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている。わたしは雑木林という言葉がキライだ。松、杉、楢、楓、櫟、みんなそれぞれ固有名詞が付いている。」
これは、どんな植物にも固有の名前がある。それを無視して「雑草」や「雑木林」などと人間にとって要不要だけで分類するのは、おこがましいという主張でした。(木村久邇典「周五郎に生き方を学ぶ」実業之日本社より抜粋)

では、その「雑草」とは何でしょうか。今では「雑草学」なる研究分野もあり、稲垣栄洋博士によると「雑草は、人間の作り出した特殊な環境に適応して、特殊な進化を遂げた特殊な植物」ということになります。これを言い換えると、「人間のいないところには、雑草はない」ということです。

もう少し広げて、「雑草」の反対語と問われれば、どうもピントのあった言葉はでてきません。それでもと考えると、まず生態学的には「野草」が当たるかもしれません。ここでの「野草」とは、人為的な管理がされていない自然な場所に自生する植物を指すことになります。また農学的・園芸的には、「作物」や「草花」、「庭木」などがあたるかも知れません。これらは人間が栽培し収穫を目的とする有用な植物、あるいは観賞用として庭や花壇で育てられる植物をいいます。

このように私たちの身近に生える「雑草」ですが、農家のように耕耘をあまり行わない家庭菜園の圃場では、その「雑草」の生育が旺盛になります。家庭菜園の周辺や大きな通路の草刈り、圃場の草取りはどのようにすれば良いのでしょうか。

  2.草刈りや草取りの方法

  「草刈り」とは、鎌や草刈り機などを使って草を刈る作業のことです。また「草取り」は、立鎌ホーや三角ホーなどで草を削っていく作業のことです。
  この「草刈り」や「草取り」で、大切なことは「一寸下を刈る」ということです。草が最も生育の盛んな、地表から一寸(3センチ)より下を刈ることで、草が出るまでの期間も長くなります。


草刈り前の通路

草刈り後の通路
  (1) 家庭菜園の周辺や大きな通路

○比較的広い面積の雑草を刈るには、エンジン式の刈払い機がお勧めです。20ccの小型刈払い機でも広範囲の除草や法面作業に対応しているので、家庭菜園にとっては便利です。
○この刈払り機で草を刈る際の適切な高さは、地面から10〜15センチ(ちょうど足のくるぶしの高さ)が最適とされています。この高さで刈ることで、草の成長を効果的に抑制しつつ、地面に刃が当たるのを防ぎ、安全かつ効率的な作業が可能です。

通路の堆肥撒布

  (2) ほ場の通路

○ほ場の通路の「草取り」は、昔ながらの立鎌ホーや三角ホー、コンコン鎌が便利です。
○「草取り」の基本は前進作業です。立っての作業が大変なときは、座ったまま移動しながら作業ができる「フィールドカート(車輪付きの椅子)」を利用しましょう。
○通路に堆肥などを撒いておくと、「草取り」作業も楽になります。

「だいこん」生育初期

  (3) 播種(定植)から生育初期の畝

○タネを蒔く場所や、苗を定植する場所の畝では、雑草を根っこごと抜き取ります。
○そこに雑草の根があると、幼い作物は雑草の根の勢いに負けて、十分に根を伸ばすことができません。

「だいこん」生育中期
  (4) 生育中期の畝

○この時期に、株の根元付近に生えている雑草を放っておくと、やはり作物は思うように育つことができなくなります。
○この雑草は、小さなうちに根から抜き取ってください。

「だいこん」生育後期
  (5) 生育後期の畝

○作物がある程度大きくなった後は、草取りはあまり必要なくなります。
○作物が生育後期になり、十分に根を張ると、後から芽を出した雑草はあまり大きく成長しないからです。ただ、雑草の高さが作物より大きくなり、日照が妨げるようになったら草取りをしてください。





  (6) 「草取り」をしたくない時

○畝の草取りをしたくない時は、ビニールマルチなどでマルチングをします。
○マルチングをして土を被うと、雑草の成長や繁殖を防げることができます。特に黒色のビニールマルチを使えば、雑草が生えても光合成ができず、ほとんど育ちません。
○春先に黒色マルチを使うと太陽光で土が温まります。また夏場も白黒マルチを使うと直射日光が土に当たらなくなって、温度上昇が穏やかになります。
○またシルバーマルチでは、太陽光を乱反射するために、アブラムシなどの害虫予防に効果的です。
  3.除草剤について

  手軽な雑草対策の方法としては、雑草の生えている場所に除草剤をまいて処理するという方法があります。除草剤を使えば面倒な草刈りの手間がいらず誰でも簡単に雑草を処理することができます。最近では、人手不足のために、道路の路傍でも除草剤によって雑草対策をしているのを見かけるようになりました。

  家庭菜園では、除草剤は区画の外周に巡らせたシカやイノシシよけの電気柵の下に使用されているくらいです。最近では、畑で使えるアミノ酸系除草剤というものも販売されていますが、そのほかに使用するときは、本当に必要なのかどうかをよく考慮することが必要だと思います。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」
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