へちま(糸瓜)

Loofah     プロフィール

  ウリ科ヘチマ属の一年草で、学名は Luffa cylindrica。
  西アジアが原産です。わが国へは江戸時代の初めに渡来しました。蔓性の茎で、葉と巻きひげは互生します。8月から9月ごろ、黄色い雌花と雄花を咲かせます。花後には、長さ30〜60センチの筒形の果実をつけます。茎からはヘチマ水が採れ、果実は食用やタワシに使われます。
  系統・品種と用途

  ふつう市販されているのは「太へちま」です。他には食用の「まくらへちま」、近縁の「とかどへちま(十角糸瓜)」などがあります。
  栽培のポイント

  「へちま」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

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12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 05/下〜06/中   09/上〜10/中  
寒冷地 05/中〜06/上   08/下〜10/中  
温暖地 05/上〜05/下   08/中〜10/中  
暖 地 04/中〜05/中   07/下〜10/下  

ご注意

  発芽温度は20〜35℃、生育温度は15℃以上なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

25-30

生育適温

20-30

栽培のポイント

  高温性のため、できるだけ保温や加温して発芽・育苗します。植えつけは、暖かくなってから行うことがポイントです。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

6.0-7.5

栽培のポイント

  酸性には弱いので、酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


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作付け間隔

3-(5)


栽培のポイント

  連作すると蔓割れ病や線虫による障害が出やすいので、いちど栽培したところでは、少なくとも3年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「へちま」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 3〜3.5号ポットにタネまき用土を入れ、タネを2〜3粒まきます。覆土は1センチくらいです。寒さに弱いので、20℃程度になるように保温します。

Loofah
Loofah
Loofah

(2) 本葉が1枚のころ、間引いて1本立ちにします。夜間の気温が18℃以下にならないように保温してください。

(3) 本葉が4〜5枚になるまで育苗します。

畑の準備

(1) 強い酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり苦土石灰150gを施し、よく耕します。

(2) 畝の全体に、元肥として1平方メートルあたり完熟堆肥3kgと有機配合肥料100gを入れてよく耕します。そのあと幅90〜120センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

植えつけ

(1) 遅霜の心配がなくなり、本葉が4〜5枚くらいに育ったころに植えつけます。

Loofah

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(2) 畝に、株間80センチ以上の間隔で植え穴を掘り、根を傷めないように注意して植えつけます。10号深鉢には1株、65センチの深プランターに2株を植えることができます。高さ2メートルほどのアーチ支柱や棚を作ります。

整枝・追肥

(1) 下方の側枝は摘み取り、主枝を支柱に誘引します。丈夫な棚やアーチ支柱に導き、子蔓を四方に伸ばします。

Loofah

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(2) 棚上では均一になるように蔓を誘引し、紐で支柱にとめます。

(3) 果実が着果し始めたころ、有機配合肥料を追肥として施し、土寄せします。また育ち具合をみて、半月後にもう1回追肥します。

収穫

(1) 蜜腺があり、虫が多く集まるため、自然交配で十分です。

Loofah

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(2) 開花後10日ほどの未熟果を食用にします。

(3) 開花後40〜50日くらいたち、果梗が茶褐色になり、実が軽くなってきたころ収穫します。水につけ、皮や内部を腐らせて日に当てて乾かし、天然素材のタワシとして利用します。

(4) ヘチマ水は、株元から60cmくらいのところで茎を切り、先端をビンの口に入れて、雨水が入らないようにして液を採取します。
  おもな病害虫

  「へちま」には比較的病害虫が少ないですが、アブラムシ類がついたり、うどんこ病やつる割病が発生したりします。とくに、連作したりすると線虫などが発生します。
  「へちま」のQ&A

  Q1:「へちま」の雌花が7月になってもつきません。
  A1:「へちま」の着花は、短日条件で早くなり、長日条件で遅くなります。6月の夏至のころになると、とくに着果が遅れてしまいます。着花が遅れると「つるボケ」になり、実がつきません。また肥料や水やりが多くても「つるボケ」になります。よく着花させるには、なるべく早く定植するようにします。

  Q2:「へちま」の果実は食べられるの。
  A2:「へちま」の果実は食べられます。ただし、大きくなると繊維が硬くなるので、20cmほどになった幼果を収穫するようにします。沖縄では、食用ヘチマ(ナーベーラー)と呼ばれる品種があります。味噌煮やベーコンとの炒め物、中華風スープなどに利用されます。

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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