ねぎ(葱)


    プロフィール

  ユリ科ネギ属の多年草で、学名は Allium fistulosum。
  中国の西部が原産です。中国では2千年前から栽培されてきました。わが国へも古くに渡来し、日本書記には「岐(き)」として登場しています。関東・東北地方では、葉鞘の白い部分をおもに食用とする「根深ねぎ」が栽培され、関西地方以西では、緑色の部分を食べる「葉ねぎ」が栽培されています。4月から5月ごろ、茎頂に球状花序をつけ小さな白い花をいっぱい咲かせます。
  系統・品種と用途

  「ねぎ」は、鍋物や汁物の実、薬味などとして欠かせない野菜です。「葉ねぎ」はプランターでも栽培できますが、「根深ねぎ」は株元を軟白にするため、深溝を掘ったり何度も土寄せしなければならないので、畑での栽培に限られます。

「葉ねぎ」の代表品種と特徴
(1) 岩槻(加賀群):葉身細かく柔らかい、夏用、休眠強い
(2) 越津(九条群):根深兼用、春・秋まき用、休眠弱い
(3) 九条太(九条群):根深兼用、干しネギ用、休眠弱い
(4) 九条細(九条群):浅黄系や奴、春・秋まき用、休眠弱い

「根深ねぎ」の代表品種と特徴
(1) 下仁田(加賀群):非分けつ性、休眠強い
(2) 加賀(加賀群):金沢太や松本一本、秋まき用、休眠強い
(3) 千住黒柄(千住群):元蔵や吉倉、秋まき用、耐暑性あり、休眠中程度
(4) 千住合黒(千住群):金長やホワイトタワー、低温伸張性、耐暑性あり、休眠中程度
(5) 千住合柄(千住群):石倉やホワイトスター、春・秋まき用、休眠中程度
(6) 千住赤柄(千住群):王喜、春まき用、低温伸張性あり、休眠弱い
  栽培のポイント

  「葉ねぎ」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

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7

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9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫


気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/上〜06/下   09/上〜12/上  
寒冷地 03/下〜06/下   08/下〜12/中  
温暖地 03/中〜06/下 09/上〜09/下 08/中〜02/下 06/上〜02/下
暖 地 03/上〜06/下 09/中〜10/上 08/上〜02/下 05/下〜02/下

ご注意

  発芽温度は4〜30℃、生育温度は5〜30℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

15-30

生育適温

15-20

栽培のポイント

  冷涼で乾燥した気候を好むため、風通しのよい場所で栽培します。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

5.7-7.4

栽培のポイント

  ほとんど中性の土壌を好みます。酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

作付け間隔

1-(2)


栽培のポイント

  あまり連作障害はでませんが、いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「葉ねぎ」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 苗床は、1平方メートルあたり120〜150gの苦土石灰で中和したあと、3kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料をよくすき込んでおきます。
  よく均したあと、畝の直角方向に、条間10センチで深さ1センチほどのまき溝をつけ、1センチ間隔くらいにばらまきします。覆土は5ミリくらい掛けるようにします。














(2) 育苗箱のときは、タネまき用土を入れ、条間10センチで深さ1センチほどのまき溝をつけ、1センチ間隔くらいに条まきします。覆土は5ミリくらい掛けるようにします。

(3) 葉が混み合わないように間引き、最終株間を4〜5センチにします。育苗箱のときは、最終間隔を2センチほどに間引き、必要に応じて、苗床に移植して地床育苗を行います。

(4) 鉛筆くらいの太さになるまで育苗します。2〜3週間に1回ずつ、必要に応じて、有機配合肥料か液肥を追肥として与えます。播種から定植まで、育苗日数は70〜90日かかります。

畑の準備

(1) 「細ねぎ」のときは、1平方メートルあたり120〜150gの苦土石灰で中和したあと、3kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料を全面にまき、15〜20センチの深さに耕し、幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てておきます。

(2) 「太ねぎ」のときは、1平方メートルあたり120〜150gの苦土石灰で中和したあと、3kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料を全面にまき、20〜25センチの深さに耕し、幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てておきます。

植えつけ

(1) 苗は、植えつける前に陰干しして、ネダニ予防のために根を乾燥させておきます。








(2) 「細ねぎ」のときは、植え溝をきって、条間45センチ、株間20〜25センチに5〜7本ずつまとめて植えつけます。

(3) 「太ねぎ」のときは、深めの植え溝をきり、条間45センチ、株間10センチに2〜3本ずつまとめて植えつけます。

(4) 65センチのプランターなら、発芽したあと、徐々に間引いていきます。

追肥・管理

(1) 「細ねぎ」のときは、1か月に3回くらい、有機配合肥料を追肥として与えます。






(2) 「太ねぎ」のときは、1か月に3回、有機配合肥料を多めに施し、株元に土寄せします。
  土寄せの厚さは、20センチくらいになるようにします。

(3) プランター栽培では、1か月に2〜3回ずつ、株間に追肥を施し、土とよく混ぜ合わせます。

収穫

(1) 「細ねぎ」は、抜き取って収穫するか、地上部を5センチほど残して刈り取ります。追肥を施すと、また葉が伸びて収穫できるようになります。

Welsh onion

Welsh onion

Welsh onion


(2) 「太ねぎ」は、株ごと抜き取って収穫します。

(3) 「ねぎ坊主」が咲くと、葉が硬くなり、味も落ちるので、早めに摘み取るようにします。
  栽培のステップ

  「根深ねぎ」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

気候区分

作業

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫


気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 04/上〜05/上   11/中〜12/上  
寒冷地 03/下〜05/中   11/中〜12/中  
温暖地 03/中〜05/下 10/上〜10/下 10/下〜03/中 07/中〜10/中
暖 地 03/上〜06/上 10/上〜10/下 11/上〜03/中 07/中〜10/中

ご注意

  発芽温度は4〜30℃、生育温度は5〜30℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 苗床は、1平方メートルあたり120〜150gの苦土石灰で中和したあと、3kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料をよくすき込んでおきます。
  よく均したあと、畝の直角方向に、条間10センチで深さ1センチほどのまき溝をつけ、1センチ間隔くらいにばらまきします。覆土は5ミリくらい掛けるようにします。














(2) 育苗箱のときは、タネまき用土を入れ、条間10センチで深さ1センチほどのまき溝をつけ、1センチ間隔くらいに条まきします。覆土は5ミリくらい掛けるようにします。

(3) 葉が混み合わないように間引き、最終株間を2〜3センチにします。育苗箱のときは、最終間隔を2センチほどに間引き、必要に応じて、苗床に移植して地床育苗を行います。

(4) 鉛筆くらいの太さになるまで育苗します。2〜3週間に1回ずつ、必要に応じて、有機配合肥料か液肥を追肥として与えます。播種から定植まで、育苗日数は50〜60日かかります。

畑の準備

(1) 1平方メートルあたり120〜150gの苦土石灰で中和したあと、3kgの完熟堆肥と100gほどの有機配合肥料を全面にまき、20〜25センチの深さに耕し、幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てておきます。

植えつけ

(1) 苗は、植えつける前に陰干しして、ネダニ予防のために根を乾燥させておきます。






(2) 深さ25センチほどの植え溝をきって、条間45センチ、株間10センチに植えつけます。

(3) 根元が少し隠れる程度に1〜2センチ土をかけます。

(4) 溝の中へ稲わらや乾し草などを入れて、乾燥を防ぐようにします。

追肥・土寄せ

(1) 1か月に1回くらい、油かすや有機配合肥料を土と混ぜながら溝に追肥として与えます。軟白部を隠すように溝に土寄せします。






(2) 最終の土寄せは、緑葉部の元が少し埋まるくらい十分に土を寄せるようにします。

収穫

(1) 軟白部を傷めないように注意して鍬で土を堀あげ、手を抜き取ります。








(2) ふつうは必要に応じて収穫しますが、全部収穫しなければならないときは、葉鞘部に土をかけて一時的に貯蔵するようにします。
  おもな病害虫

  「ねぎ」には、ネギハモグリバエやネギアザミウマがよくつきます。またアブラムシがつくことがありますが、ウイルスを媒介するので早期に駆除します。
  「ねぎ」のQ&A

  Q1:「ねぎ」が抽苔しました。
  A1:「ねぎ」はグリーンプラントバーナリゼーション(緑植物春化)型の作物で、一定の大きさに達した苗が13℃以下の低温に30日以上の低温にあうと花芽分化します。とくに秋まき栽培では、春先に抽苔(とうだち)して「ねぎ坊主」ができるますので、これは摘みとっておきます。この葉は枯れてしまいますが、元のほうから新しいわき芽が伸びてきます。

  Q2:「ねぎ」の九条太とは何ですか。
  A2:「ねぎ」の九条群は、冬場にすくすくと葉柄をの伸ばし、柔らかで風味のよい、青々としたねぎができます。分けつ(株わかれ)が盛んで、伝統的な九条太ねぎで5〜6本、九条細ねぎで5〜10本に分けつします。いわゆる「博多万能ねぎ」も、実は九条細ねぎです。

  Q3:「ねぎ」の黒柄とは何ですか。
  A3:「千住ねぎ群」は、東京江東区の砂町が発祥で、ここにあった千住市場に集められていたことからこの名前がつきました。系統的には、九条ねぎと加賀太ねぎの中間型となります。千住ねぎ群にも様々な品種があり、緑色が濃いのが黒柄(くろがら)、最も淡いのを赤柄(あかがら)、その中間が合柄(あいがら)、合柄と黒柄の中間が合黒(あいくろ)といいます。黒柄に近づくほど分けつしにくく、夏場に強い(低温に弱い)という特徴があります。

  Q4:「ねぎ」(根深)の春まきと秋まきで違いはありますか。
  A4:「根深ねぎ」は、葉鞘を軟白させるため、定植後、土寄せをくり返す深植え栽培が特徴です。秋まきではふつう、9〜11月に播種、4〜5月に定植、そして8〜12月が収穫期となります。一方春まきでは、3〜4月に播種、6〜7月に定植、そして11月から翌3月が収穫期となります。秋まきは、身が締まるとも言われますが、実際にはほとんど変わりありません。

  Q5:「ねぎ」の上手な土寄せとは。
  A5:「ねぎ」は葉身部と葉鞘部に分かれています。根深ねぎはおもに葉鞘を、葉ねぎは葉身と葉鞘を利用します。土寄せはこの葉鞘部を軟白するために行いますが、生育状況を見ながら4〜5回に分けて行います。生育中期までは軽く、生育後半の3回目からは、積極的に葉鞘部に土をかけるようにします。
※土寄せされた葉鞘部が、完全に軟白されるまでには、冬季では30〜40日が必要です。

  Q6:「ねぎ」の苗が消えてしまいます。
  A6:「ねぎ」が発芽した後、苗が消えてしまうのは、水分過多や肥料過多、酸性土壌や苗立ち枯れ病などが考えられます。もっともあるのが水のやり過ぎです。多少の乾燥、日照りではまず枯れることはなく、乾燥気味に管理してください。また、葉先が枯れてくるのは肥料過多の場合が多いです。

  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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