
ささげ(大角豆)


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プロフィール

マメ科ササゲ属の一年草で、学名は Vigna unguiculata。
アフリカ北部のエチオピアが原産だと考えられています。わが国へも平安時代にはすでに渡来していて、栽培されてきました。名前の由来は、莢の先が上に反り返り、捧げもつ手の形に似ていることから。
莢が長く伸びる「じゅうろくささげ(十六大角豆)」と呼ばれる品種群もあります。
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系統・品種と用途

「ささげ」の莢は、ふつう10〜30センチの長さになります。未熟でまだ緑色の若い莢を茹でて食べるほか、完熟したマメを、煮豆や赤飯、強飯に混ぜて利用されます。とくに米との混炊には、「あずき(小豆)」のように煮くずれしないのでもっぱら本種が用いられます。「いんげんまめ」とは異なり、真夏にも結実します。地方によって「はたささげ(畑大角豆)」や「やっこささげ(奴大角豆)」とも呼ばれます。
「じゅうろくささげ」の莢は、30〜90センチの長さになります。地方によって「ながささげ(長大角豆)」や「さんじゃくささげ(三尺大角豆)」、「ふうろまめ」といった呼び名があります。
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栽培のポイント

「ささげ」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。
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 気候区分
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 作業
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 1
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 10
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 温暖地 |
 種まき |
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 植えつけ |
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 収穫 |
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 気候区分
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 まきどき (春|秋)
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 収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
05/下〜06/下 |
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08/上〜09/下 |
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寒冷地 |
05/中〜06/下 |
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07/下〜10/上 |
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温暖地 |
05/上〜07/上 |
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07/中〜10/中 |
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暖 地 |
04/中〜07/下 |
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06/下〜10/下 |
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ご注意
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発芽温度は15〜35℃、生育温度は10〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。
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℃
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15 20 25
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発芽適温
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20-25
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生育適温
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20-25
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栽培のポイント
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高温性で乾燥を好み、日照りには強い作物です。ただし低温には弱く、霜にあうと枯死します。生育には10℃以上が必要で、遅霜の心配がなくなってから植えつけます。
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pH
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5.0 6.0 7.0
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土壌酸度
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6.0-6.5
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栽培のポイント
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酸性に弱いので、酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。土性はあまり選びません。
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年
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 0 |
 1 |
 2 |
 3 |
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 5 |
 6 |
 7 |
 8 |
 9 |
 10 |

作付け間隔
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2-(3)
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栽培のポイント
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連作を嫌うので、いちど栽培したところでは、少なくとも2年は栽培しないようにしてください。
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栽培のステップ

「ささげ」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

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ステップ
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内容
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種まき・育苗
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(1) 3号ポットに用土(培養土)を入れ、タネを3〜4粒、間隔をあけて、人差し指1節くらいの深さにあけた穴にまきます。1センチほどの覆土をして、軽く手で押さえます。
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(2) たっぷりと水を与え、植えつけまで日当たりのよいところで育てます。
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畑の準備
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(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100〜150gの苦土石灰を施し、よく耕します。
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(2) 畝の全面に、1平方メートルあたり2〜3kgの完熟堆肥と50〜100gの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。
肥料とくに窒素分は少なめに施肥します。肥料が多いといわゆる「つるぼけ」を起こし、収穫量が減ってしまいます。
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植えつけ
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(1) 本葉が2枚のころ、成長の遅れているものを間引き2本にします。さらに本葉が4枚になったころ1本に間引きます。
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(2) 畝に、条間45センチ、株間45センチで植え穴をあけ、苗を植えつけます。8号鉢に1株、65センチのプランターなら2株が植えられます。
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(3) 植えつけの後にもたっぷりと水を与えます。
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整枝・追肥 支柱立て
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(1) 本葉が5枚になったら、先端を摘芯してわき芽をだすようにします。この枝に実がつくようになります。
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(2) つるあり種では、2メートルくらいの支柱を立て、ネットを張って誘引します。
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(3) 花が咲く頃、化成肥料を株元にまいて土寄せします。
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収穫
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(1) 夏に、黄白色または薄紫色の花を咲かせます。莢の収穫まであと一歩です。
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(2) 莢を食べるものは、莢がふくらんできたら収穫時期です。
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(3) マメを食べるものは、秋まで育てて完熟させます。
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おもな病害虫

「ささげ」には、アブラムシ類の害虫がつきます。また菌核病やうどんこ病、赤色斑点病などの病気も発生します。
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おもしろ百科

「ささげ」と「あずき」

江戸時代、武士のあいだでは赤飯や強飯に「あずき(小豆)」の代わりに、「ささげ」が使われるようになりました。それは「あずき」が煮ると皮が破れやすい、すなわち「腹が切れる(切腹に通じる)」ことを忌み嫌ってのことです。「ささげ」は一般的に「金時ささげ」とも呼ばれます。また、小豆と似ていますが小豆よりも地味で茶色っぽい色、赤飯にすると、ピンク色ではなく薄い茶色になります。本来はこの「ささげ」の色がでた茶色が赤飯の正しい色です。

「じゅうろくささげ」

「いんげんまめ」に似ていますが蔓性で、茎の長さは2〜3メートルになります。夏に葉腋から花梗をだし、黄白色または藤色の花を咲かせます。莢果は長くて30〜90センチになり、若い莢や完熟した豆が食用にされます。長い莢のなかに、マメが16個も入っているということから名づけられました。地方品種としては、愛知県の「くろだねじゅうろくささげ(黒種十六大角豆)」が有名です。
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「ささげ」のQ&A

Q1:「ささげ」の莢がかたくて美味しくありません。
A1:「ささげ」の長い莢は、収穫が遅れるとかたくなります。とり遅れると、株への負担が増え、株が弱ります。莢がかたくならないうちに、早めに収穫します。また、土壌水分が不足すると莢がかたくなります。乾燥を防ぐために敷きワラや水やりをします。

Q2:「ささげ」の葉縁が縮んできました。
A2:「ささげ」の葉が縮んで奇形になったり、葉が表面が濃淡のモザイク状になるのは、モザイク病(ウイルス病)と考えられます。これは薬剤では防除できないので、病株は他に伝染しないように、畑から持ち出して処分します。媒介するアブラムシは、光るものを嫌う習性がありますので、シルバーマルチをすると効果があります。
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写真提供: 「ボタニックガーデン」 イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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