さつまいも(薩摩芋)






    プロフィール

  ヒルガオ科サツマイモ属の多年草で、学名は Ipomoea batatas。

  中央アメリカが原産です。わが国へは江戸時代のはじめに沖縄へ渡来しました。土壌を選ばず栽培が容易なことから、江戸時代の中頃には全国的に広がりました。現在、世界の生産量の90パーセントはアジアが占めています。もともと熱帯性の植物なので、本州ではほとんど花を見ることができません。熱帯や亜熱帯地方では、秋のはじめに「あさがお」より小さな淡い紫色の花を咲かせます。
  系統・品種と用途

  「さつまいも」には、色や食味、用途によってさまざまな品種があります。また青果用や蒸切干し用、その他などの分類もあり、主要なものだけでも60品種以上あるそうです。家庭菜園としては、青果用やその他の品種を選ぶことになります。
  高系14号やベニアズマ、べにまさり、べにはるか、クイックスイート、安納芋、アヤムラサキ、パープルスイートロードなどがあります。
  栽培のポイント

  「さつまいも」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

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温暖地

植えつけ

収穫


気候区分

植えどき

収穫時期
寒 地 05/下〜06/中   09/下〜10/中  
寒冷地 05/下〜06/中   09/下〜10/下  
温暖地 05/中〜06/中   09/下〜11/中  
暖 地 05/上〜07/上   09/上〜11/下  

ご注意

  萌芽温度は15〜35℃、生育温度は10〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

萌芽適温

25-35

生育適温

22-30

栽培のポイント

  野菜のなかでは最も高温性です。イモの肥大は20〜30℃で起こり、夏の強光や乾燥にも耐えます。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

5.5-6.8

栽培のポイント

  ほとんど中性に近い弱酸性土壌を好みます。土壌の適応性は幅広いですが、酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


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作付け間隔

0-(1)


栽培のポイント

  ほとんど連作障害は出ませんが、連作するとが「センチュウ」の被害がでてきます。いちど栽培したところでは、少なくとも1年は栽培しないほうがいいでしょう。
  栽培のステップ

  「さつまいも」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

芋苗の準備

(1) 市販されている無病の種イモから育てた芋苗(挿し穂)を使用します。茎が太めで、節間が間延びしていない、葉が5〜8枚ついた苗を選びます。






(2) 芋苗はすぐに植えつけが可能ですが、育苗箱に栽培用土を入れ、苗を仮植えする方法もあります。1週間ほどが経ち、白い根が少し見えてきてから植えつけた方が、根の活着はいいようです。

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり100gの苦土石灰を施し、よく耕しておきます。




(2) 元肥として1平方メートルあたり完熟堆肥3〜5kgをよくすき混み、幅90センチ、高さ20センチほどの畝を立てます。前作で野菜を作っていた畑なら、ほとんど無肥料で栽培できます。施すときは、サツマイモ用配合肥料(NPK5−10−15など)を100gほど与えます。

マルチ
植えつけ

(1) マルチを利用すると、雑草の防除や収穫時のつるはがし作業が容易になります。黒マルチを張る前に、十分に乾燥しておきます。






(2) 植えつけは、晩霜の危険がなくなり、平均気温が18℃以上になったころに行います。植えつけ方法はいろいろありますが、斜め植え(3〜4節斜め挿し)がお勧めです。マルチの穴は土で塞いでおきます。

管理

(1) 植えつけ後、根は伸びますがつるの生育は遅いため、除草を行います。マルチの場合はほとんど除草は必要ありません。また蔓が這い地面を被ってくれば雑草もあまり発生しません。














(2) 追肥は基本的に行いません。ただ蔓の伸びが悪く、葉の色が薄いときには、追肥を施します。

(3) 7月から8月になると、茎葉が繁茂してきます。蔓が徒長しすぎると、通路を塞いだり、イモの肥大が妨げるため、「蔓返し」や「切り戻し」を行います。通路を確保するように「切り戻し」していくのがお勧めです。

収穫

(1) 植えつけ後、120〜140日、平均気温の積算温度2400〜3000℃で収穫となります。試し掘りをして、イモの太り具合を手で確認し、順次収穫します。




(2) まず蔓を切り取り、マルチを剥がしながら収穫します。収穫はなるべく畑が乾いているときに行い、霜の降りる前には収穫を終えるようにします。 

(3) しばらく乾燥させてから貯蔵します。収穫直後よりも2〜3週間貯蔵したイモのほうが、甘みが増しておいしくなります。




ステップ

内容

プランター
での栽培

(1) 「さつまいも」の栽培は、60センチの深型プランターでも栽培できます。プランターに栽培用土を入れ、芋苗(挿し穂)を2株ずつ植えつけます。「蔓返し」や「切り戻し」は不要です。






(2) 植えつけ後、120〜140日で収穫となります。
  おもな病害虫

  「さつまいも」のおもに害虫には、ハスモンヨトウやナカジロシタバ、イモコガ、ネコブセンチュウなどがあります。また、おもな病害としては、黒斑病やつる割れ病、紫紋羽病、基腐病などがあります。とくに近年、全国各地でサツマイモ基腐病の発生が確認されています。一度発生すると根絶が難しい病害です。予防としては、健全な種苗を利用することが大切です。
  「さつまいも」のQ&A

  Q1:「さつまいも」の主要品種の特徴は。
  A1:「さつまいも」の主要品種の特徴は、つぎのようです。
・「高系14号」:高知県で育成され、古くから西日本で多く栽培。「鳴門金時」や「宮崎紅」、「べにさつま」、「土佐紅」などの地方品種があります。皮は赤紫色、肉は黄白色で粉質、甘くてホクホクとした食感。
・「ベニアズマ」:皮は濃い赤紫色で、肉は淡黄色で粉質、甘みとホクホクとした食感。(育成者権消滅、2000年)
・「べにまさり」:皮は赤紫色、肉は濃い黄色でやや粘質、甘みが強く食味が優れる。(育成者権消滅、2025年)
・「べにはるか」:皮は赤紫色で、肉は黄白色、糖度が高く、しっとりとクリーミーな食感。(品種登録、2010年)
・「クイックスイート」:皮は赤紫色、肉は淡黄色で粉質、ホクホクとした食感。でん粉の糊化温度がふつうのサツマイモよりも20℃ほど低いため、電子レンジでも短時間で加熱調理できます。(品種登録、2005年)
・「安納芋」:種子島や福江島が主な産地です。皮は褐紅色、肉は赤っぽいオレンジ色で、加熱すると濃い黄色に変化。 水分量と糖度が高いため、ねっとりとした食感になります。
・「アヤムラサキ」:九州農試で育成。皮は暗赤紫、肉は濃紫色、さっぱりとした甘みと、ホクホクとした食感。(育成者権消滅、2019年)
・「パープルスイートロード」:九州農試で育成。皮は濃赤紫色、肉は紫色で、甘みがありホクホクとした食感。(育成者権消滅、2024年)
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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大地の歓びをつたえ、ホームガーデンとともに