
とうもろこし(玉蜀黍)


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プロフィール

イネ科トウモロコシ属の一年草で、学名は Zea mays。
南アメリカのアンデス山麓が原産だと考えられています。15世紀末にコロンブスによってヨーロッパに伝えられ、アジアには16世紀のはじめ、わが国へは安土桃山時代に伝えられました。
鮮度がいのちの「とうもろこし」は、夏のホームガーデンには欠かせない野菜です。
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系統・品種と用途

「とうもろこし」の系統には、食用のスイートコーン(甘味種)やポップコーン(爆裂種)、フリントコーン(硬粒種)、ワキシーコーン(もち種)、それに飼料用のデントコーン(馬歯種)などがあります。
現在、ホームガーデンで栽培されている系統は、ほとんどがスイートコーンで、実の色によって黄粒種や白粒種、バイカラー種などに分けられます。
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栽培のポイント

「とうもろこし」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。
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 気候区分
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 作業
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 1
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温暖地 |
 種まき |
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 植えつけ |
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 収穫 |
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 気候区分
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 まきどき (春|秋)
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 収穫時期 (春|秋)
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寒 地 |
05/下〜06/上 |
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09/上〜09/下 |
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寒冷地 |
05/中〜06/中 |
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08/中〜09/中 |
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温暖地 |
04/中〜05/下 |
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07/中〜08/中 |
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暖 地 |
03/下〜05/上 |
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06/中〜08/上 |
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ご注意
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発芽温度は10〜40℃、生育温度は10〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。
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℃
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15 20 25
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発芽適温
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25-30
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生育適温
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20-30
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栽培のポイント
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高温と十分な日当たりを好みます。寒さにはとても弱いので、暖かくなってから種をまきます。
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pH
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5.0 6.0 7.0
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土壌酸度
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5.7-7.5
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栽培のポイント
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強い酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。吸肥力が旺盛なので、腐食質に富んだ肥沃な土壌が向いています。
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年
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 0 |
 1 |
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 9 |
 10 |

作付け間隔
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1-(2)
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栽培のポイント
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あまり連作障害はでませんが、連作すると生育が悪くなります。少なくとも1年は栽培しないほうが無難です。
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栽培のステップ

「とうもろこし」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

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ステップ
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内容
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種まき・育苗
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(1) 3号ポットにタネまき用土を入れ、タネを3〜4粒、人差し指1節くらいの深さにあけた穴にまきます。覆土をして、軽く手で押さえます。
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(2) たっぷりと水を与え、植えつけまで日当たりのよいところで育てます。本葉が2枚になったころ、2本立てにします。
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畑の準備
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(1) 酸性土壌にやや弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり150gの苦土石灰を施し、よく耕します。
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(2) 畝の中央に、深さ15〜20センチの溝を掘るか、全面に1平方メートルあたり3kgの完熟堆肥と120gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。
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植えつけ
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(1) 本葉が3〜4枚に育ったころ、条間45〜60センチ、株間30センチ間隔で植え穴をあけ、根を傷めないように注意して苗を植えつけます。鉢やプランターでの栽培は、かなり難しいです。
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(2) 自家受粉では実入りが悪く、歯抜け状になりがちなので、2株以上を同時に育てることがポイントです。
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追肥 雌花の整理
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(1) 本葉が5〜6枚に育ったころ、間引いて1本立ちにします。このとき、残す株を痛めないようにハサミで切りようにします。
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(2) 高さが30〜50センチくらいになったら、有機配合肥料を株元にまいて土寄せします。地際から生える腋芽は、根の発育を促し倒伏防止のためにも有効なので残しておきます。
生育が悪いときには、雄花が咲いたころに、さらに追肥します。
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(3) 雌花(雌穂)に雌しべ(絹糸)が出始めたら、一番上の1本を残して他の雌花をかき取ります。
かき取った雌花は、ヤングコーン(未熟果)として利用します。
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収穫
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(1) 受粉してから3週間くらいで収穫できます。雌しべ(絹糸)の先端が褐色になり、すこし縮れたころが適期です。つかんで中の手応えがあったら、元からもぎ取ってください。収穫の適期は3日ほどと短いので、注意が必要です。
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おもな病害虫

「とうもろこし」には、アワノメイガなどの害虫がつきます。黒穂病やごま葉枯病などの病気も発生します。
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おもしろ百科

「デントコーン」

酪農地帯を歩いていると、よく背丈の高い青々とした「デントコーン」の畑をみかけます。家畜の飼料用の「とうもろこし」で、秋に収穫され、細かく裁断して他の牧草とともにサイロに詰めて保存されます。サイロのなかでは、適度に乳酸発酵が行われ、腐らないために年間を通じて飼料として利用されます。
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「とうもろこし」のQ&A

Q1:「とうもろこし」が発芽しない。
A1:「とうもろこし」は、地温10℃以下では発芽しません。低温・多湿条件下では発芽遅延し、多くの場合、発芽する前に腐敗・枯死します。発芽に必要な積算温度は、約180℃です。播種から一定期間、水やりをしなかったり、ふつう1〜2cmの覆土が多すぎたりしても発芽しないことがあります。また発芽しても、芽生えたばかりの種子が、野鳥に食べたりすることもあります。

Q2:「とうもろこし」のわき芽はとるの。
A2:「とうもろこし」の地際から生えるわき芽は、以前はすべて取り除くとされていましたが、近年の研究では、株全体の葉の面積が多くなることで、主茎につく雌花の成長に有効であり、また根の発育を促して倒伏防止にも役立つため、残しておいたほうが良いとされています。

Q3:「とうもろこし」の雌花がでません。
A3:「とうもろこし」は花芽分化期(5〜8葉期)に、旱魃や高温、低温、浸水、過湿、晩霜、日照不足などによって強いストレスが加わると花芽分化の異常が起こり、雌花がでないことがあります。また逆に、複数の雌花(副房)がでることもあります。

Q4:「とうもろこし」の穂に虫がはいった。
A4:「とうもろこし」の穂に虫がはいり、子実が食べられてしまうのは、アワノメイガの幼虫の食害と考えられます。アワノメイガは6月ごろから発生が多くなります。幼虫は見つけしだい捕殺します。幼虫は雄穂に侵入してから雌穂に移るので、受粉が終わったら被害雄穂を切りとり、持ち出して処分します。

Q5:「とうもろこし」の穂先まで実をつけるには。
A5:「とうもろこし」の穂先まで実をつけるには、雄花の花粉が雌花に十分かかるように、1列ではなく、数列にわたって栽培します。定植は、植え傷みで花芽分化異常を起こさないように、本葉2枚くらいで行います。適期に栽培し、畑が乾いたら水やりをします。わき芽(ヒコバエ)を除去しないほうが、雌穂の先端までよく肥大した品質のよい実ができます。

Q6:「とうもろこし」の葉が黄色くなってしまいました。
A6:「とうもろこし」は、多くの肥料を必要とします。とくにチッ素肥料が不足すると、極端に生育が悪くなります。葉が黄色くなったり、色が薄くなるのは、肥料不足のうえに、混ぜた腐葉土や堆肥が未熟であったことも原因として考えられます。未熟な腐葉土や堆肥は、微生物を繁殖させ、土中のチッ素分も吸収してしまいます。

Q7:「とうもろこし」を一本だけで栽培できますか。
A7:「とうもろこし」は他家受粉で、ひとつの雌花は他の株の花粉をもらって受粉します。したがって、一本だけで栽培するのは難しいです。でも近くに「とうもろこし」畑があったりすると、他の株の花粉が風で飛んできて受粉することがあります。

Q8:「とうもろこし」を何種類も栽培したいのですが。
A8:「とうもろこし」は風媒花で、他家受粉のために他の品種と交雑しやすい性質があります。また「とうもろこし」の花粉は、300m以上も飛散するといわれていますので、風向きを考えて栽培する必要があります。現在、スイートコーンには黄粒種や白粒種、バイカラー種などがありますが、この同品種の花粉がかかり合うように集団栽培することが大切です。たとえば、白粒種に黄粒種の花粉が受粉すると、キセニア現象によって粒はすべて黄色となるので、注意が必要です。
※キセニア現象とは、胚乳に花粉親の影響が現れる現象で、コメやとうもろこしなど胚乳の部分を食べる作物で問題になります。

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写真提供: 「ボタニックガーデン」 イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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