とうがらし(唐辛子)


    プロフィール

  ナス科トウガラシ属の多年草で、学名は Capsicum annuum。
  熱帯アメリカが原産です。コロンブスによってヨーロッパに伝えられ、わが国へは16世紀に渡来しました。江戸時代から栽培され、多くの品種が作出されました。代表的な品種には、鷹の爪(たかのつめ)や八房(やつぶさ)、伏見辛(ふしみから)などがあり、またチリソースなどに利用する洋系品種もあります。
  系統・品種と用途

  「とうがらし」は、暑さや病害虫に比較的強く育てやすい夏野菜です。系統的には、鷹の爪系と八房系、伏見辛系、洋系があります。辛味が強いため、ふつうは完熟果を乾燥させて、乾果として利用します。
  栽培のポイント

  「とうがらし」を栽培するにあたっての基本条件および栽培のポイントはつぎのとおりです。なお作型は、品種によって異なる場合がありますので、タネ袋に記載されている内容をよく確認してください。

気候区分

作業

1

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3

4

5

6

7

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9

10

11

12

温暖地

種まき

植えつけ

収穫

気候区分

まきどき (春|秋)

収穫時期 (春|秋)
寒 地 03/下〜04/下   07/下〜10/上  
寒冷地 03/中〜04/中   07/中〜10/中  
温暖地 03/上〜04/上   06/中〜10/下  
暖 地 02/下〜03/下   06/上〜11/上  

ご注意

  発芽温度は15〜40℃、生育温度は10〜35℃なので、これを外れるときは、加温または遮熱をしてください。

 


152025

発芽適温

30-35

生育適温

25-30

栽培のポイント

  高温性のため、できるだけ保温や加温して発芽・育苗します。植えつけは、暖かくなってから行うことがポイントです。

 

pH

5.06.07.0

土壌酸度

5.5-6.7

栽培のポイント

  酸性に弱いので、酸性土壌ではかならず石灰を施し、よく耕してから栽培にとりかかってください。

 


0

1

2

3

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5

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7

8

9

10

作付け間隔

3-(5)


栽培のポイント

  連作障害が出やすいので、いちど栽培したところでは、少なくとも3年は栽培しないようにしてください。
  栽培のステップ

  「とうがらし」を栽培するとき、種まきから収穫までの作業ステップは、およそつぎのようになります。ここでは、小さなホームガーデンを想定した一般的な方法を説明しています。

 

ステップ

内容

種まき・育苗

(1) 育苗箱に、4〜5センチ間隔で条まきするか、連結ポットに3粒くらいずつ蒔きます。覆土は1センチくらいです。発芽中は28〜30℃に保温してください。










(2) 本葉が2〜3枚のころ、4号ポットに植え替えます。夜間の気温が、15℃以下にならないように保温してください。

(3) 花が1〜2個、開花するまで育苗します。大苗にして、じゅうぶん暖かくなってから畑に植えつけます。

畑の準備

(1) 酸性土壌に弱いので、植えつけの2週間くらい前までに、1平方メートルあたり150gの苦土石灰を施し、よく耕します。




(2) 畝の真ん中に深さ20〜30センチの溝を掘るか、全面に1平方メートルあたり2〜3kgの完熟堆肥と120gほどの有機配合肥料を施し、よく耕します。幅90センチ、高さ10センチほどの畝を立てます。

(3) できれば十分に潅水し、黒色ポリフィルムでマルチングしておきます。

植えつけ

(1) 本葉が7〜9枚くらいに育ったころに植えつけます。花が1〜2個、開花しているかもしれません。










(2) 条間45センチ、株間45〜50センチに植え穴をあけて、苗を植えつけます。8号鉢に1株、65センチのプランターなら2株が植えられます。

(3) 植えつけの後にたっぷりと水を与えます。根が浅いので、水切れは禁物です。

(4) 「とうがらし」を「ピーマン」や「ししとうがらし」のそばに植えると、交雑して果実が甘くなったり、辛くなることがあります。これを避けるために、「とうがらし」に不織布や除虫ネットを掛けておくのも方法です。

整枝・追肥

(1) 下部からでた側枝は摘み取り、主枝と側枝2本の3本仕立てにします。






(2) 風で折れやすいので、支柱を立てて誘引します。枝は8の字にしばって固定します。

(3) 果実がつきだしてから、2週間に1回ずつ、必要に応じて有機配合肥料を少量追肥します。

収穫

(1) 緑色の未熟果も食用として利用できますが、辛味が強いので注意してください。






(2) 真夏には、水切れさせないように毎日水やりします。

(3) 晩秋になって、果実が色づいて完熟したころ、株ごと引き抜いて収穫します。軒下など雨のあたらないところで、つり下げて乾燥させます。
  おもな病害虫

  「とうがらし」には、アブラムシ類やハダニ類などの害虫がつきます。比較的、病害虫は少ないですが、連作したりすると青枯れ病や疫病などが発生します。
  「とうがらし」のQ&A

  Q1:「とうがらし」の実つきがよくありません。
  A1:「とうがらし」の花が咲くのに、実がならないのは、その原因として肥料切れや土の乾燥、土の過湿などが考えられます。この対応としては、完熟堆肥を施して水もちと水はけをよくする、肥料切れにならないように、早め追肥をする、また乾燥させないように敷きワラをするなどがあります。また、一度にいっぱい実をつけると株への負担がまし、落花が多くなるので、実がなりすぎたときは、若どりして株への負担を軽減することが大切です。

  Q2:「とうがらし」の色があせてしまった。
  A2:「とうがらし」の果実の赤色はアントシアニンです。これは熱や酸素に弱く、直射日光にあたるとすぐに褪せてしまいます。乾燥するときは、日光の当たらない冷暗所で行ってください。

  Q3:「とうがらし」の葉がまだら模様や奇形に。
  A3:「とうがらし」の葉が、緑色濃淡のモザイク状や、細く奇形になったり、果実が凸凹になったりするのは、ウイルスによるモザイク病と考えられます。モザイク病は薬剤では防除できないので、病株は見つけしだい抜きとり、持ち出し処分します。アブラムシが媒介するので、薬剤やシルバーマルチなどを利用して防除するようにします。
  写真提供: 「ボタニックガーデン」  イラスト: 「ころぽっくる」 by lemさん
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